北海道の農場で、特定技能制度を利用して来日したミャンマー人労働者が暴行などを受けたと訴えている問題。撮影された映像や音声には一部始終が残されていました。
暴行などの被害を訴えているのは、北海道京極町にある農場で働く当時19歳のミャンマー人男性。
7月5日、農場の実質的な経営者の京極町議とその息子の2人から畑で金属製の棒で叩かれてけがをし、その翌日には平手打ちされるなどの暴行を受けたと訴えています。
この問題について、元日本テレビ政治部記者で政治ジャーナリストの青山和弘氏や社会学者の古市憲寿氏が見解を述べました。
■「お前たちみんなクビになるぞ。ちゃんと理解しないとミャンマーに帰すぞ」
農場で撮影された映像には、「お前たちみんなクビになるぞ。ちゃんと理解しないとミャンマーに帰すぞ」などの発言が。
そして被害を訴えるのは、この男性だけではありません。
【30代のミャンマー人労働者】「よく眠れない。朝になるのは怖くて、朝になって職場に行ったら何されるのかわからないという不安だらけ」
30代の別のミャンマー人労働者も農場関係者2人から暴行を受けたとして刑事告訴する方針です。
この問題は町議会でも言及されましたが、実質的経営者である町議は「一身上の都合」を理由に欠席。
また9日の団体交渉が開かれましたが、町議はそこにも姿を現しませんでした。
■“暴行”と”セクハラ”の訴え 双方の主張に食い違い 農場側「知らない」
この団体交渉で、労働者側は、「金属製の棒で叩かれた」「尻を触られるなどのセクハラを受けた」と主張しています。
一方、農場側は「指で肩付近をついただけであり、その他については知らない」と述べて主張が食い違っています。
農場関係者によると、車にガソリンをこぼしたとして2人が罰金として7万5000円ずつ徴収されたほか、6人分の給料計約100万円が未払いになっているとされています。
これらについては農場側も認め、週明けに支払うとしました。
■被害を訴えているのは「特定技能」制度で来日した“労働者”
関西テレビの神崎博報道デスクはかつての技能実習制度が抱えていた問題点を説明しました。
【神崎博報道デスク】「技能実習は、実習という形で学ぶことが表向きにあった。ただ実質的には外国人を労働力として当てにしているような制度だった。
若干グレーで、受け入れ側が日本の労働法制をちゃんと守らなくて、最低賃金を守らなかったりとか、労働時間を守らなかったりということが一部の受け入れ側にあったりした。
それはダメだということでちゃんと労働力として受け入れるという形で今回この特定技能という制度を今進めている」
「特定技能」は、業種は限られるものの、外国人を正式な労働力として受け入れ、日本の労働法制に基づいて権利を保護することを目的とした制度です。
今回問題となっているのは、その特定技能で来日した労働者たちが不当な扱いを受けたとされている点にあります。
■「外国人労働者に付け込むようなことが起こっているなら深刻な問題」青山氏
青山氏は、制度面での対応の必要性を訴えました。
【青山和弘氏】「もちろん農場側にも言い分もあるのかもしれないけど、不当な扱いを外国人労働者が受けないように、定期的に監査したり、通報したり相談する体制をちゃんと整えないといけないですね。
農業も漁業も介護も建設業も外国人労働者に頼っているところがある。交渉できるような土壌を作ることはまず大事ですよね。
法律上の権利は日本人労働者とほとんど変わらないところまで来ている。ただ日本語が苦手だったり、自分の国から出る時に借金が多かったりして、(雇い主側が)外国人労働者に付け込むようなことが起こっているなら、本当に深刻な問題だと思います」
■「人権を守る仕組みを作る」必要性がある 古市氏
社会学者の古市憲寿氏も国籍に関わらず「人権を守る仕組みを作る」必要性があると訴えました。
【古市憲寿氏】「特定技能は転職がしにくい。だから雇われる外国人の方は、たとえ変なことを言われても受け入れざるを得ない状況に陥りやすい。
国籍とかじゃなく単純に人権を守って、制度の中で違法なことをした人に対してペナルティーを科していく仕組みを作っていかないとダメなのかなって気はしますね」
(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2026年9月10日放送)
