去年、記録的な大量死が発生し生産者に大きな打撃を与えた広島の味覚、カキ。
猛暑の影響などを考え、今年の出荷開始は例年より1カ月ほど遅い11月2日以降に決まりました。
一方で、生産者は生育状況を注意深く見守っていて手探りの状況が続いています…
東広島市安芸津町。
カキのシーズンを迎える前の夏場も生産者は毎日のように海に出ています。
【森尾水産・森尾龍也代表】
「(カキの)へい死対策としては産卵を促すように色々刺激を与えたり、そういう作業をしてます」
広島が生産量日本一を誇るカキ。
去年、そのカキの大量死が問題となりました。
県の有識者会議は「産卵ができずリスクを抱えた状態のカキが、高水温や高塩分などの複合的な環境ストレスに長期間さらされたことで、例年より深刻な大量死が引き起こされた」との暫定的な意見をまとめました。
森尾水産の森尾龍也さんは、去年のような被害を防ごうと独自の取り組みを続けています。
筏に吊るしていたカキを海中からつり上げました。
一時的に太陽の光にあてることで卵を抱えたカキに刺激を与え産卵を促す狙いです。
【森尾水産・森尾龍也代表】
「(カキの身から)いち早く卵を出させることがストレスの軽減につながるのではないか。卵を体内に溜めるとストレスになるので、これをなんとか刺激を与えて放卵させないと」
今年はここまで、カキに異常は確認されていませんが、県内5つの海域で海水温が25℃を観測。
県は大量死のリスクがあるとして「警戒アラート」を発表しました。
異変をピンポイントで察知するため、森尾さんは自分で海水をとり、データを蓄積するようになりました。
【森尾水産・森尾龍也代表】
「去年も1週間程度で状況が180度変わった。先週と比べると塩分濃度は大して変わらない。データを見てどうこうできる環境ではないけれど、要因をしっかり把握しないことには対策の打ちようがない」
仮に異変が分かったとしても、筏に吊るすカキの水深を調整するなどしか打つ手がなく、生産者だけの努力で抜本的な対策がとれないのが現状です。
こうした中、この日向かったのは竹原市にある県栽培漁業センターです。
センターではカキの子どもにあたる「種苗」が育てられていました。
【県栽培漁業協会・吉岡大介さん】
「三倍体マガキと言いまして、分かりやすく説明したら、種なしブドウと同じような感じですね。(通常のカキより)卵を持たないことで夏場にも身が痩せにくいカキをつくっている」
海の変化に対応するため、高水温でも耐えられるよう改良したカキの子どもを試験的に導入します。
【森尾水産・森尾龍也代表】
「夏を乗り越えるようないいカキになればという思い」
早速、沖に出て改良されたカキの養殖を始めました。
今年の広島のカキの出荷開始は11月2日以降に決定。
猛暑による高水温の影響などを考慮し去年よりおよそ半月遅く、例年と比べるとおよそ1カ月遅いスタートとなります。
今年の出荷に備えながら、さらにその先も見据えます。
【森尾水産・森尾龍也代表】
「すべてがまだ手探りなので、不確かな原因の中で新しく発見されることも出てくるだろうし、養殖もどんどん改善されるべき点があればどんどん改善していければと思う」
