福岡県議会の「ドン」と呼ばれた蔵内勇夫議長が、25日をもって県議会議員を辞職することを表明した。
議長職の辞任にとどまらず、議員辞職を表明したのは、「議員辞職は考えていない」と否定してからわずか5日後のことだ。
急転直下の辞意表明を受け、元テレビ西日本記者で、長年福岡県議会の取材を続けるジャーナリストの鈴木哲夫氏は「議員辞職は単なる通過点に過ぎない」と指摘し、今後の展開について、取材に基づく持論を交えて述べた。
■“議長辞職”はありえても「議員辞職までは予想せず」と鈴木哲夫氏
事態が動いたのは24日。
蔵内議長は県議会事務局を通じてコメントを発表し、「8月25日(火)に東京で開催される女性議員研究交流大会での全国都道府県議会議長会会長としての職責を全うした上で、福岡県議会議員の職を辞することとしました」と表明した。
突然の辞職表明を受けて、鈴木哲夫氏は福岡の複数の関係者に連絡を取ったといいますが、驚きを隠せないと話す。
鈴木哲夫氏:僕もびっくりしました。自民党のベテランの元県議も含めてあちこち電話したけど、議長職については『早ければ9月2日ごろに辞めるんじゃないか』という話もあった。だけど『議員辞職』はほとんどの人が予想していなかった。
その上で鈴木氏は、「このタイミングで辞めると最初から決めていたとは思えない。この5日間に、議員まで辞めなければいけないような事実があった可能性もあるかもしれない」と推測した。
一方で、蔵内議長が「追い込まれていたのは間違いない」として、「いろんな可能性が考えられる」と慎重な見方を示した。

■世論調査では動議による採決回避に「納得いかない」と答えた人が75%に
今回の問題は、吉松源昭県議が『議長ポストをめぐる“金銭授受疑惑”』を告発したことがきっかけだった。
今月、吉松県議は蔵内議長への辞職勧告決議案を提出しましたが、17日に開かれた臨時議会では、採決が行われる直前に蔵内議長の元秘書である自民党の林泰輔議員が決議案の採決を中止するよう求める動議を提出。
この動議は賛成多数で可決され、辞職勧告決議案の採決は取りやめとなった。
鈴木氏はこの動議が可決された経緯について、次のように分析した。
鈴木哲夫氏:こういう形で決議されて議長を辞めるのは“ドン”としては屈辱ですよね。だから、自民党の中で『おれは議長を辞めるから、きょうは採決は勘弁してくれ』ということで、自民党全体が収まったんだと思います。
臨時議会が行われた後、テレビ西日本が実施した緊急世論調査では、動議による採決回避に「納得いかない」と答えた県民が75%にのぼり、約80%の人が『来年春の統一地方選に影響する』と答えた。

■「議員辞職は単なる通過点に過ぎない」
鈴木氏は蔵内議長が議員を辞職することについて、「議員辞職は単なる通過点に過ぎない」と指摘した。
鈴木哲夫氏:蔵内さんが議員辞職したらこれで終わりか。全然そうじゃない。『議長になるときにお金が動いた・動かない』という事実関係そのものがまずどうなのか。
それから、そういうことが福岡の自民党の中で続いてきたということ、みんなが反省しなきゃいけないと思う。誰が悪いじゃなくて、自民党全体が解党的な出直しをどうするのか。
また、蔵内議長が推し進めていた「ワンヘルス事業」をはじめとする県の事業についても、「蔵内さんという主役がいなくなったから、『じゃあもうこれで(終わり)』ではない」と述べ、県議会と県庁の双方がそれぞれの責任として総括に臨むべきだと訴えた。
(関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」 2026年8月24日放送)


