夏の風物詩として親しまれてきた盆踊りが、存続の危機に直面している。背景にあるのは、会場周辺の住民からの騒音への苦情で、主催者は開催時間の短縮など対策を講じている。一方で、その伝統を守るために新たな試みも始まっている。
盆踊りに「うるさい」苦情も
東京・大田区の池上本門寺で5日夜に行われたのは、100年以上の歴史があるとされる、この時期恒例の「みたま祭り 納涼盆踊り大会」。

参加者からは「楽しい」「音が聞こえてくると『ああ夏だな』と嬉しい気持ちになる」といった声が聞かれ、夏祭りならではの雰囲気に、大人も子どもも胸が高鳴る。
ところが今“夏の風物詩”である「盆踊り」が消滅する危機に瀕しているという。
先週末、札幌市で行われた「ひのまる公園盆踊り」は、2日間で5000人以上が参加し、大いに盛り上がった。一方で、盆踊りの普及に取り組む団体のトップが口にしたのは“盆踊り衰退”への強い危機感だった。
北海盆踊り普及連合会 荒川和雄会長:
場所がなければやぐらは建てられない。(盆踊りが)衰退していく。
荒川さんによると、この夏、札幌市内で開催される盆踊りの会場は約20か所で、20年前に比べ半減したという。その大きな要因が“騒音問題”だった。
北海盆踊り普及連合会 荒川和雄会長:
騒音問題で公園を貸さないということが起きている。

札幌市などによると、地域の祭りや盆踊りに対し「うるさい」などという意見が例年、数件寄せられるという。
午後7時には終了、すぐに撤収
盆踊りは「うるさい」のか?「ひのまる公園盆踊り」の会場に隣接する住宅街で確かめてみると、踊りがピークを迎え、楽しげな太鼓や音楽の音が周辺の住宅街にも響く。
周辺の住民に盆踊りの音をどう感じているのか聞いてみると、「別に気にしない。毎日だったら別ですが」「いやいや風物詩ですから。うるさいとかはない」といった意見が聞かれた。
取材に対し“騒音だ”と答える住民はいなかったが、主催者側は、周辺地域に大きく配慮していた。
盆踊りが終了したのは、周囲がまだ明るい午後7時。そして祭りの余韻も冷めやらぬ中、撤収作業に取りかかった。
ひのまる公園盆踊り実行委員会 高橋直美委員長:
苦情があったら次の開催ができないので、細心の注意を。
「サイレント盆ダンス」
夏のふれ合いの場である盆踊りを残したい、そうした思いから石川県金沢市では“次世代盆踊り”として、2019年8月にこんな取り組みが実現した。

会場に響くのは、セミの鳴き声と手拍子だけ。参加者たちは、音楽なしの“無音”の中で踊る。これはイヤホンから流れる音楽に合わせて踊る「サイレント盆ダンス」だ。参加者からは、「初めてやって必死だけど楽しい」「耳で音が出ているので、不思議な感じはしない」といった感想が聞かれた。
盆踊りの未来は…
果たして盆踊りはこの先どうなっていくのか。日本盆踊り協会によると、盆踊りの開催数は地方を中心に減少傾向にある一方で、参加人数自体は増えている状況だという。
5日夜に行われた池上本門寺の盆踊りも、年々参加者が増えているという。
池上本門寺 僧侶 一戸将弘さん:
コロナ禍を明けてちょうど戻ってきて、(コロナ禍前の)それよりももっと増えてきてるような印象があります。100年、200年これからもずっと続いていけばいいなと思っています。
“盆踊り人気”の背景にあるのは、外国人観光客だ。実際、SNSには「bonodori(ボンオドリ)」や「bondance(ボンダンス)」の#(ハッシュタグ)と共に、日本各地の盆踊りの様子が投稿されている。池上本門寺でも盆踊りを楽しむ多くの外国人の姿が見られた。
今回が“盆踊り初体験”というドイツからの留学生も大満足の様子だ。

ドイツからの留学生:
すごいです。めっちゃいいです。面白い。
日本ならではのとても特別なもので、世界の他の場所ではなかなか見ることができない。これからもずっとこの文化が途絶えることなく受け継がれてほしい。
(「イット!」8月6日放送より)

