4日夜、大阪府河内長野市の路上で「包丁を持った血だらけの男が暴れている」という通報があり、包丁を持った男が警告に従わなかったことから駆け付けた警察官が威嚇射撃のうえ、男に発砲しました。
銃弾は男の胸に当たり、公務執行妨害などの疑いで現行犯逮捕されました。男はその後、搬送先の病院で死亡しました。死因は「胸を撃たれたことによる出血性ショック」でした。
この発砲は正当なものだったのでしょうか。元兵庫県警刑事部長の棚瀬誠氏が警察官の拳銃の使用について解説しました。
■刃物を持った人物がいるとの通報などがあった場合には、さすまた・盾・刃物を通さない防刃ベスト・手袋などを着用する
まず棚瀬氏は、警察官がどのような装備で勤務しているかを説明しました。
【棚瀬氏】「通常、警察官は拳銃・手錠・警棒・警笛を装備し、さらに刃物を持った人物がいるとの通報などがあった場合には、さすまた・盾・刃物を通さない防刃ベスト・手袋などを着用して現場に臨みます」
■発砲するまでの流れは
その上で棚瀬氏は、刃物発砲に至るまでの段階を次のように整理しました。
【棚瀬氏】「最初の段階は『説得』です。現場に到着した警察官はまず、刃物を捨てるよう相手に呼びかけます。それでもおさまらない場合には、さすまたや警棒を使って制圧を試みます。
拳銃をホルスターから取り出した段階で、すでに拳銃の使用という概念に入ると思ってください。その後の流れは、拳銃を構える、上または下に向けて威嚇射撃をする。そして最終的に相手に向けて発砲する、という段階を踏みます」
■今回の発砲の判断は「妥当だと考えられる」棚瀬氏
今回の発砲の判断について、棚瀬氏は「妥当だと考えられる」と見解を述べました。
その根拠として挙げたのが、現場映像に映り込んでいた近隣住民の存在です。
【棚瀬氏】「警察官の後ろ側に、かなり近い距離で近隣住民の方がいました。警察官は後ろの住民のほうに相手が突進して、危害を加えられるわけにはいかないので、いわば防波堤になりながら相手をどう制圧していくかを考えていた」
さすまたを持った警察官が確認できることから、「発砲に至る前の段階で制圧を試みていた状況がうかがえる」と述べています。
■「手だけを狙って撃つことは現実には難しい」
先月、熊本で発生した警察官の発砲事案では右肩と右太ももに命中しました。今回の事案では、左胸に命中しました。
これに対し、棚瀬氏は、狙いやすさと安全性の観点から胴体を狙うことが今回の状況では「胴体のどこかに確実に当てられる真ん中を狙うことが合理的な判断だった」との見解を示しました。
【棚瀬氏】「手や足を狙うという選択肢では困難があります。体の真ん中を狙うとなれば胴体に向けて撃って制圧に当たるというのが常道です。
外してしまい、警察官の被害、さらに住民に被害があってはならないので、いざとなって狙うべきとなれば真ん中を狙って撃てというのが本件においては定石だと思います」
棚瀬氏は「テレビドラマのように手だけを狙って撃つことは現実には難しく、相手の挙動が読めない以上、胴体のどこかに確実に当てられる真ん中を狙うことが合理的な判断だった」という見解を示しました。
(関西テレビ「newsランナー」 2026年8月5日放送)
