【野川諭生アナウンサー】
『てつたま、』です。
今回は記念すべき年を迎えた広島電鉄の車両がいるということで取材しています。
それでは…。
【広島電鉄 電車総務課 栗山将吾さん・野川アナ】
「広電本社にやってまいりました。栗山さん、よろしくお願いいたします」
「よろしくお願いします」
「メモリアルイヤ-を迎えた車両が広電にいるということを聞いて来たんですけど…。この中にいますか?」
「います」
「年末のスペシャルでは市川紗椰さんも『おおー』と感嘆の声を上げていた電車見望台。
やはり眺めがいいなという感じで…。しかしうーん、メモリアル?」
「新しい電車ではないかもしれないですね」
「新しい電車ではない・・・。それなりの年月を重ねた『メモリアル』ということですね」
「はい」
「元・京都市電の車両ですか?」
「・・・ではないですね。この中で1両だけちょっと変わった色をした…」
「変わった色をしている!・・・となると美しきルージュの602号ですか?」
「その通りです」
「あら!」
『動く電車の博物館』ともいわれる広電では、自社で製造した車両だけでなく、全国の都市から移籍してきた車両が、いまも現役で活躍しています。
広電では珍しいこの赤い車両は、福岡の西日本鉄道、通称・西鉄から移籍した車両です。
【広島電鉄 電車総務課 栗山将吾さん・野川アナ】
「メモリアルな、というのはこちらのプレートの?」
「そうです。1976年ですかね、広島電鉄に来てちょうど今年で50年。製造自体は1948年のものになります」
「戦後すぐですね」
602号が広電に移籍したのは、1976年。
当時の社内報には、話題のニューフェイスと紹介されていました。
当時は今よりも、少し茶色っぽい色合いだったんですねぇ。
600形は広電へ3両移籍しましたが、残るのは602号だけになっています。
【広島電鉄 電車総務課 栗山将吾さん・野川アナ】
「移籍50年!イベントなどの企画はされたんですか?」
「そうですね。もう終わったんですが、撮影会をしまして。午前、午後で40人ずつ募集をかけたんですけど、午前の分に関しては2分。午後に関しても12分で完売ということで」
「15分以内には全部なくなったと。すごいですね」
「『撮影時間です』とご案内すると、もうシャッターの音しかしない」
「シュババババババですか?」
「そう、そうです」
その撮影会というのがこちら。
例年、6月10日の路面電車の日にちなんで行われ、今年は共に西鉄から移籍して50年という節目を迎えた602号と3003号が選ばれました。
撮影会が始まると、静寂な空間にシャッター音だけが響き、静かなのに鉄ちゃんの思いが充満する熱い空間へと変貌します。
撮影会の日時が刻まれたこの日限りのプレートが掲出されれば、そのボルテージはさらにヒートアップ。
さらに602号は4人ずつ、中を自由に撮影する時間が設けられました。
その時間はわずかに3分であります。
さあ何を撮影するのか?記念撮影をするもよし、運転台を撮るもよし…。
【参加者】
「車内全体を撮りたいので、ちょっとこっちに来ませんか?」
誰もいない車内を撮る…。
これぞ、鉄ちゃんならではの発想なのであります。
あ、皆さんちゃんとついて来てくださいね…。
【広電社員】
「それでは3分経ちましたので、下車お願いします」
あっという間の3分なのでした…。
【参加者】
「愛知から来ました。僕も好きなのでレトロ車両も。愛知も豊橋鉄道さんがあるんですけど、広電さんも僕は好きな方で。特にグリーンムーバー、好きだったんです」
その後も撮影会は続き、最大の見せ場は、両車両の方向幕の『幕回し』です。
行き先が変わるごとに、シャッターを切る音が一斉に響きます。
【参加者の小学生】
「(一番楽しかったのは)やっぱり幕回し。見たことがない行き先が多かったので。
【ディレクター】
※イチおしの行き先を…
「これです。3003号の五日市の行き先が一番。レアな行き先…」
【ディレクター】
「宮島口と出ることが多いものね」
【参加者の小学生】
「はい。あと宮島線から撤退しているので、それでもかっこいいし、貴重だなと思ったので」
移籍50年記念の撮影会から再び話は戻って、千田車庫へ…。
西鉄が製造した602号は同じ時期に広電が作った車両とは少し違いがありました。
【広島電鉄 車両課 車両整備係 小鳥田満 主任・野川アナ】
「個人的な印象ですが、ちょっとほっそりしているような印象を受けたりするんですよね」
「そうですね。この電車の特徴は前面が横に比べて前に向かって、すぼまっているんですよね。これはもともと西鉄さんに購入された時は広電でいう650形、大阪から来た大阪市電の電車と同じような形だったのですが、西鉄さんの方でカーブのところで電車同士が当たるという話がありまして。それから改造されて、安全に運転できる状態の形状になったという…」
「安全上の理由で加えた改造だけれども、結果的に唯一無二な外観を生み出したと」
「そうですね」
続いて車両の側面へ…。
【広島電鉄 車両課 車両整備係 小鳥田満 主任・野川アナ】
「ドアの位置について変更、改造が加えられた歴史があると伺ったんですが」
「そうですね、西鉄さんが導入された当初、前・中・後と3枚扉だったんですね。運用面で真ん中の扉がいらないということで、1回真ん中の扉を潰しています」
「埋めたんですか?」
「はい、埋めました」
「この扉が…」
「無かったんですね。無くて前と後ろに扉がありましたよ。という状態です。広電に導入されて、また新たに広電仕様の中扉を改造して付けましたということなんです」
「車内にお邪魔することは・・・」
「大丈夫です」
「大丈夫ですか?ぜひぜひよろしくお願いします」
「じゃあ入ってみましょう!」
「ここから?」
「あ、入れませんでした」
「小鳥田さん、ボケもされるということが、いまわかりましたね」
「そこはアリです?(笑)」
気を取り直して、車内へと参りましょう!
【広島電鉄 車両課 車両整備係 小鳥田満 主任・野川アナ】
「わ!いいですね」
「雰囲気が違いますよね?」
「そうですね、やっぱり色合いもそうですけど…」
「650形被爆電車とも違うし、大阪の電車ともまた違う…」
「この車両ならではといいますか、他の車両と違うところなど・・・」
「外を見てもらったとき、ちょっと流線形になっているという話があったじゃないですか…。こちらのシートを見てもらったら分かるんですけど」
「あ!これは!カクッ、カクッとなってますね」
「なっていますよね。その面影がありますね」
「ここからすぼめていかなきゃいけないという…。これはちょっと面白いポイントですね」
「そうですね。次になかなか無いんですけど、このカーテンカバーのデザインですよね。普通まっすぐ平らなものがついているんですけど、この電車に限ってはローマ彫刻というんですか、そんなイメージのような…」
「かなりオシャレ」
「ですよね」
「1948年製、オリジナルでこの部分が付いていたんですか?」
「広電で改造したのか、西鉄さんでこういうデザインだったのかというのがちょっとわからないんですけど。ここはやっぱり(ほかの車両と)違いますね」
「オシャレですよね」
「そうですね」
「(床面の)この部分の話は何度か聞いたことがあります。パカッと開けると」
「モーターなどを点検するために蓋が付いているんですけど・・・いいですか?開けますよ」
「いいんですか?」
「はい。ここですね。モーターがありまして、西鉄さんは(蓋が)2枚開きだったんですけど、広電仕様で3枚開きに」
「なるほど」
「必要ないところは塞いでおく。見やすい所は開けられるようにするよ、という…」
さらに車内で、鉄ちゃんにはたまらない物を発見しました。
【広島電鉄 車両課 車両整備係 小鳥田満 主任・野川アナ】
「循環線にいま、日中は充てられて、運転の時刻も公表されている期間。この期間中、602号に乗るとこの特別シールを1枚いただける。この車両に乗って、広島の街をまわって、シールももらえるということで。非常にいい期間なんじゃないですか」
緑をイメージカラーとする広電の電車とは、また違った雰囲気で、ワインレッドの車体が目を引く602号。
【広島電鉄 電車総務課 栗山将吾さん・野川アナ】
「もう50年…西鉄時代も入れると、もっと長いので。これからもきちんと整備しながら使っていきたいと考えています」
【広島電鉄 車両課 車両整備係 小鳥田満 主任】
「せっかく西鉄さんからこの車両を譲り受けたわけですから、50年先、100年先と車両が走り続けられるように整備していきたいと思います」
循環線の開業で、レトロな旧型車両も活躍の機会が増えました。
『動く電車の博物館』はこれからも健在のようです。
