みずみずしい甘さで夏の訪れを感じさせる桃。

6品種・約300本の桃が育てられているという和歌山県紀の川市の八旗農園を訪ねると、白い袋が被せられ収穫を待つ時期を迎えていました。

しかし、桃の品質を下げてしまう犯人が、その袋にくっついていました。

その犯人とは、カメムシ。ことしはカメムシが大量発生するおそれがある悪い意味での“当たり年”だということがわかりました。

■本当に嫌な害虫「カメムシ」 毎年のように大量発生

強烈なにおいを発する嫌われ者、カメムシ。

最近は毎年のようにカメムシが大量発生しています。

【3年前の記者リポート】「自宅のエレベーターが開きましたが、さっそく、エレベーターの真横にカメムシが1匹います。1匹いるだけだと思ったら下にも3匹。

上を見ると、なんと…明らかに今日の朝よりも増えている…。ちょっと待ってください、これ、家に帰れないかもしれないです。

待って、20匹ぐらい、え!待って!あぁっ!やだっ!わ~っ」

こう叫んだのは記者。神戸市内のマンションにはカメムシがびっしりついていました。

そして、2年前にも、徳島・鳴門市での大発生を取材。

住民は「壁一面と玄関に密集する。足の踏み場も無い。例年にないほどたくさん。臭いがすごくて対処しきれない。洗濯物も干せない」と嘆いていました。

■カメムシ「ことしは多い年」

そして、ことしもすでに大阪や兵庫の全域に、カメムシが大量発生するおそれがあるとして「病害虫発生予察注意報」が発表されています。

取材班は病害虫の研究をしている兵庫県農林水産技術総合センターに向かいました。センターでは、捕獲したカメムシの産卵状態などを調べて今後の発生状況を予測しています。

【兵庫県農林水産技術総合センター 冨原工弥主任研究員】「5月、ことしは例年にない発生がみられまして、平年よりも7倍とか10倍とか多かった。一晩で800とか1000頭とかバケツが満タンになる日もあった」

大量発生した2年前にも、バケツの底が見えないほど大量のカメムシが捕獲されていました。

【兵庫県農林水産技術総合センター 冨原工弥主任研究員】「カメムシは多い年と少ない年と1年おきに繰り返すことが確認されてるんですけど、ことしは多い年に該当する年になります。

最近は夏の気温が高かったり、秋も非常に気温が高いということで、活動が長期化する可能性があるので、これからも農業被害が懸念されるところではあります」

■農作物も被害「一級品として販売できなくなる」

カメムシは農作物などに被害を出すとして農林水産省が指定する「害虫」です。

和歌山県紀の川市の桃農園では、カメムシの被害がすでに出ています。

【八旗農園 高平昌英代表】「凹んでいるこれはカメムシの(被害)」

カメムシの主食は桃やビワなどの果実類。

カメムシは、実が小さい時に果汁を吸うため、実が大きくなって収穫するときになってやっと被害にあったことが分かるという、農家泣かせな状況です。

カメムシの被害に遭っても味には影響はないそうですが…。

【八旗農園 高平昌英代表】「一級品としては販売できなくなる。農家としては稼げるお金が少なくなる、収入が減ってしまう」

■カメムシを体の内側から破壊「“トロイの木馬”型病原微生物」

そんなカメムシを駆除するために、ある研究がすすめられています。

それが、“トロイの木馬”型病原微生物です。

20年以上にわたりカメムシの研究を行う産総研バイオものづくり研究センターの菊池義智研究チーム長によると、カメムシは体の中に多くの微生物がいます。

その中に「病原微生物」を入れることで体内で増殖し、5日から10日でほぼ100%の確率で死に至るということです。

【産総研バイオものづくり研究センター 菊池義智研究チーム長】「カメムシにとってはいいことをするものっていうのをマネて(体内に)入って、最終的には悪さをしてカメムシを殺しちゃうってことで、“トロイの木馬”戦略を持つ病原生物と名前をつけた」

■「カメムシの形をしたままペタッと亡くなる」

体内で病原微生物が増殖したカメムシはどのように死ぬのでしょうか。

【産総研バイオものづくり研究センター 菊池義智研究チーム長】「最終的には色んな組織で色んな悪さをされて死んじゃう。

カメムシの形をしたままぺタッと亡くなるっていう感じです。農業の環境の中でカメムシが入ってこない、カメムシが増えないような世界を作りたいなと思ってます」

この微生物は人間やほかの昆虫への影響はないとみられていて、農業での活用が期待されています。

農害をもたらし、悪臭を放ち、悪いこと尽くしの存在のカメムシ。

新たな技術で、カメムシがいなくなる日が心から待たれます。

(関西テレビ「newsランナー」2026年6月18日放送)

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