岡山市の漁協が、夏でも濃厚な味わいを楽しめるカキの本格的な養殖を始めることになり、出荷に向けて整備した施設が公開されました。新たな収入源、人材確保の手助けとなることが期待されています。
岡山市東区宝伝の港に完成したのは、「3倍体カキ」の浄化施設です。岡山市の朝日漁協が約3000万円をかけて整備したもので、岡山市内では初めてです。
(朝日漁協協同組合 伊加通人理事)
「(カキは)海域が汚れていると悪い微生物を取り込む。浄化された海水で24時間浸すと体の中の毒素を全部吐き出す。そういった特徴があるので生の3倍体真ガキを出荷するためにはこういった浄化施設は必須」
一般的な養殖カキは「2倍体」で、染色体を2組持っていますが、「3倍体」は品種改良で染色体を3組に増やすことで、卵や精子を作りにくくしています。そのため、産卵期にあたる夏場でも栄養分が失われず、年間を通してクリーミーで濃厚なうま味を楽しむことができます。
瀬戸内海では2025年、海水温の上昇などによって養殖カキが大量に死ぬ被害が相次ぎました。「3倍体カキ」は、産卵によって失われるエネルギーを温存することができるため、大量死のリスクも減らせるということです。
(朝日漁協協同組合 伊加通人理事)
「2倍体のカキは冬が旬で夏はあまり出荷されない。夏場に死んでいるのではなく、子を産むための栄養を持っていくので身痩せする。3倍体は身痩せしないので時期を調整すれば通年出荷ができる」
6月16日は、「3倍体カキ」の試食会も行われ、地元の人たちに振舞われました。
(試食した人は…)
「夏に食べられるということで体力が落ちる季節に栄養価の高いものを食べられるのはうれしい。特に生ガキはレモンで食べるととてもおいしかった」
「磯の香りが良くてあっさりしていておいしい」
朝日漁協ではノリの養殖が盛んですが、シーズンは冬が中心。さらに、ノリは価格の乱高下が大きく、安定した収入と漁業者の人材確保が大きな課題となっていました。
(朝日漁協協同組合 伊加通人理事)
「冬場だけで人を雇うのは安定して人を確保できない。通年して、収入も確保できて仕事があるということで3倍体カキの養殖にチャレンジした」
漁協の救世主として期待される3倍体カキ。朝日漁協は6月からインターネットなどで3倍体カキの販売を始め、2026年度、10万個の生産を見込んでいます。
