アメリカのAI大手・アンソロピックは、高性能AI「クロード・ミュトス」に匹敵する性能のAIモデルを数週間以内に一般公開すると明らかにしました。

山崎夕貴キャスター(崎はたつさき):
日本でも高性能AIに対する対策が急ピッチで進められていることについて、フジテレビ経済部の智田解説副委員長をお伝えします。

ポイントは「AI『ミュトス』驚きの能力」「悪用の懸念 日本の対策は」の2つです。

―― まず「AI『ミュトス』驚きの能力」について。私たちの生活の中にもAIの活用が広がっている中、ミュトスはこれまでのAIと何が違うんですか?

フジテレビ・智田裕一解説副委員長:
システムセキュリティー上の弱点を見つけられる能力が驚異的だという点です。
世界で最もセキュリティーに厳しいとされるシステムで、27年間気づかれていなかった脆弱(ぜいじゃく)な部分を見つけたり、動画サービスで使われているソフトで500万回テストしても見つけられなかった弱点を発見したりしています。
また、優先提供されているアメリカのAI企業を中心とした、約50社が自社のソフトを検証したところ、発見された弱点が1万件以上に及んだといいます。
さらに重要なもう1つの点は、見つけた弱点をもとに、攻撃プロセスまでも開発できてしまう能力です。
技術チームが公開したブログでは、正式な訓練を受けていないエンジニアでも、ミュトスに指示することで、ひと晩でシステムの弱点を見つけ出させ、翌朝には攻撃手段を完成させることができると説明されています。

―― サイバーセキュリティーを巡る能力に優れているということですが、続いて「悪用の懸念 日本の対策は」について。
ミュトスのような高性能AIについては、悪用された場合のリスクが懸念されていますが、どんなリスクがあるんでしょうか。

フジテレビ・智田裕一解説副委員長:
ミュトスのような最先端のAIの登場によって、システムの弱点を発見して悪用することのハードルが劇的に下がったといえます。
ミュトスを開発したアンソロピックは「必要な安全対策が講じられなければ、あらゆる種類のサイバー攻撃が頻繁に起こることになる」と警告しています。
サイバー攻撃によって金融・通信・交通エネルギーなど、“私たちの暮らしを支える重要なシステムが脅威にさらされるのでは”との心配が広がっていて、例えば「金融機関で預金が下ろせない」「病院で電子カルテを使えず治療に支障を来す」「交通のストップ」や「大規模な停電が発生する」など、さまざまなケースが起きる可能性を巡って懸念が出ています。

山崎夕貴キャスター:
実際にそういうことが起こってしまったら本当に困りますよね。

―― こういった懸念に対しては日本での対策はどうなっていますか?

フジテレビ・智田裕一解説副委員長:
アンソロピックはミュトスの一般公開を見送って、アメリカのIT大手や金融機関などに限定して提供を始めています。
こうした中、片山財務大臣は5月中旬、来日したアメリカのベッセント財務長官から「“日本の政府や金融機関にミュトスにアクセスできる権利が2週間以内に与えられる”と伝えられた」と明かしています。
特に金融システムでは、経済活動の根幹を揺るがす安全保障上の大きな脅威になる可能性があることから、ミュトスなどの最新モデルを使って防衛力を強める動きは、日本でもまずは金融分野で先行することになりそうです。
高度なサイバー攻撃への対策が急務になる局面が強まってきました。

山崎夕貴キャスター:
今後の動き、対策が注目されますね。