アナウンサーが自らの目や手、そして舌で体感したリアルを伝えるアナリポ。16日は鈴木さんです。
【鈴木】
有明海から誕生した新たなブランドカキの話題です。
養殖カキの味を競う全国大会で太良町の漁師が優勝しました。
優勝の要因は、地元竹崎とカキへの愛情でした。
【日本一のカキ漁師・境田耕治さん】
「年々竹崎は人口が減っている若い後継者も継げない環境になってきている(カキ漁という)素晴らしいことで生活できる・仕事できるよというのを見せられたかなと思う」
15年前から地元太良町でカキ漁師として働く、境田耕治さん48歳。
境田さんが育てたカキは、今年2月に東京の豊洲市場で行われたカキのおいしさを競う全国大会の生食の部で34組中見事優勝しました。
【日本一のカキ漁師・境田耕治さん】
「自分が育った竹崎の海が一番と評価されたと思っているめちゃくちゃうれしかった。竹崎が一番になりました」
【鈴木】
「竹崎漁港から約5分、船に乗ってきました。こちらが日本一を取った境田さんのカキの養殖いかだです」
有明海では、稚貝を付着させたホタテの貝をロープにはさみ海に落とす「カルチ式」での養殖が一般的ですが、境田さんは去年から「試験的に」稚貝を1粒ずつバラバラの状態で専用のバスケットに入れるシングルシード養殖に挑戦しました。
【日本一のカキ漁師・境田耕治さん】
「カキの殻先を波とバスケットで削り殻の成長を止めてその栄養を身に蓄え続ける。身がパンパンになっていく」
大きく膨らんだ身に育つというのがメリットというシングルシート養殖。
しかしこの方法ならではの大きな苦労も。
【日本一のカキ漁師・境田耕治さん】
「網にフジツボとか汚れがめちゃくちゃ夏場付く。それを定期的にお世話、めちゃくちゃ大変」
さらに1粒1粒のカキの成長を見極め、出荷できるまで愛情を注ぎます。
【日本一のカキ漁師・境田耕治さん】
「これで450日位経っている。これはまだ殻先が伸びてだめだよねとかこれは削れて最高とか、この中から選別する」
【鈴木】
「境田さんが作った日本一のカキをいただきます。めちゃくちゃおいしい。今まで食べた中でも濃厚度合いが別格。噛めば噛むほど口の中にうま味が広がっていく。食べごたえもあり、カキ1個当たりの満足度がものすごく高い」
境田さんが丹精込めて作った日本一のカキ「秋月」は、他のカキと比べて2倍の価格で取り引きされるほど東京や海外の飲食店からの需要が高くあります。
久留米市の飲食店では、素材のおいしさを楽しんでもらおうと、生カキとして提供されています。
【炭火焼一絆・宮さき晏蒔さん】
「直接自分も食べて痺れる位においしかった」
Qお客さんの反応は?
「一口食べたときに本当においしそうにはにかんでいるのでこっちもうれしい」
飲食店からも好評の境田さんのカキにはもう一つの秘密が。
それが、「品種改良」。
全国大会で優勝したカキは、産卵しないように品種改良された3倍体と呼ばれるカキです。
【日本一のカキ漁師・境田耕治さん】
「これまでは卵を持ち、産卵する。だから味のピークがある、3倍体は、産卵しないように品種改良をしているのである程度ムラがなく、品質が安定する」
さらにこれまでは半年しか収穫できなかったカキが約10カ月収穫でき旬の時期も長くなりました。
この挑戦の背景には、カキ漁師の置かれる厳しい環境も。
境田さんはカキ養殖だけでは儲けが少なくコハダ漁などもして生活していました。
【日本一のカキ漁師・境田耕治さん】
「今魚だけじゃ漁師継いでって言えない状況。どうにかせんといけんなと思って3倍体にチャレンジした」
今回の優勝でカキがブランド化されることで、次の世代の漁師の希望になればと境田さんは話します。
【日本一のカキ漁師・境田耕治さん】
「カキに専念もできるし、安定した収入があれば息子や後継者に継がせられる環境になる」
父とともに船に乗りその姿を見てきた二十歳の息子、壮馬さんは。
【息子の壮馬さん】
「不安もあるがそれ以上にやりたい気持ちが今の自分は強い」
【日本一のカキ漁師・境田耕治さん】
「海の辛さを知らないから言える。どれだけ大変か」
とは言いつつも本音は・・・。
【日本一のカキ漁師・境田耕治さん】
「うれしい。たのしい」
全国で一番になった境田さん。
地元竹崎で育ったカキのブランド化を通じてこれからも恩返しを続けます。
【日本一のカキ漁師・境田耕治さん】
「有明海で日本一の品物が作れるというのが若い人たちに証明できたので息子に限らずチャレンジしてくれたら」