2026年度から高校の授業料が無償化され、私立人気が高まっている。広島県では私立高校の志願者が増える一方、公立高校の定員割れが続くなど、学校選びの構図が変わりつつある。

定員を約70人上回る入学者

2026年度から男女共学となった広島市南区の私立・比治山学園高校。4月、332人の新入生が新たな一歩を踏み出した。

比治山学園高校の入学式
比治山学園高校の入学式
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少し大きめの制服に袖を通した新入生たちは、それぞれの夢を胸に高校生活をスタート。
「将来、英語の先生になるために頑張っていきたい」
「思い出をいっぱい作って、勉強も頑張りたいです」
いつの時代も変わらない初々しさがある一方で、彼らを取り巻く環境は大きく変化している。

中学・高校ともに男女共学の歴史がスタート
中学・高校ともに男女共学の歴史がスタート

高校の授業料無償化で、2026年度からは保護者の所得制限が撤廃され、私立高校に通う世帯への支給上限額は年間45万円余りに引き上げられた。これにより、私立高校も実質無償化となった。
その影響もあり、比治山学園高校の志願者は534人と前年の2倍以上に増加。募集定員を20人増やしたものの、それでも足りず、定員を約70人上回る入学者を受け入れたという。
大林秀則校長は「私学を希望する生徒が増えていると感じるが、本校の場合は男女共学化と時期が重なったので、就学支援金の拡充がどの程度影響しているかは判断が難しい」と話す。

保護者「私立が選択肢に入りやすい」

保護者は、私立高校の授業料無償化をどう受け止めているのか。

「無償化になったことで私立も選択肢に入りやすくなると思う」
「授業料の負担が減る分、ほかのことがいろいろできる」

「母子家庭なので無償化の影響はすごく大きい。授業料がかかるなら迷ったかもしれないが、所得制限がなくなって負担なく通えると言ってもらえた」

比治山学園中学・高等学校 大林秀則 校長
比治山学園中学・高等学校 大林秀則 校長

比治山学園中学・高校では、共学化を機に学校の魅力づくりを進めている。大林校長は「多様性や男女共同参画が重要視される今の社会において、男女が共に学ぶことで地域社会に貢献できる人材を育てることが使命」と語る。

この流れは他校にも広がっている。
広島市南区の進徳女子高校は2027年度から校名を「環太平洋大学広島高校」に変更し、男子生徒の受け入れを始める予定である。

公立は2年連続定員割れ、統廃合の懸念

一方で、私立人気の高まりを脅威に感じているのが公立高校だ。
2026年の公立高校(全日制本校)の最終志願者数は1万3737人、平均倍率は0.94倍と2年連続で1倍を割り込んだ。62校、97の学科・コースで定員割れとなり、“公立離れ”が加速している。

広島県教育改革課・山内領二 課長
広島県教育改革課・山内領二 課長

こうした状況について、広島県教育改革課の山内領二課長は「もちろん実質無償化による教育費の影響も大きいと思うが、私立は共学化や学科改編など各学校が魅力向上に努めています。公立も主体的に選んでもらえる学校づくりを進めていかなければいけない」と話す。

広島県内の私立高校4校が定員増
広島県内の私立高校4校が定員増

私立高校では、志願者の増加を見込んだ「受け入れ拡大」の動きも広がっている。広島県内の4校が普通科の定員を増やした。

【2026年度から定員増】
・瀬戸内高校 1200人 → 1467人
・桜が丘高校 912人 → 1215人
・広島国際学院高校 1320人 → 1485人(2028年度以降)
・山陽女学園高等部 270人 → 390人

教育現場に携わる広島大学法学部長の吉中信人さんは、公立高校の定員割れについてこう指摘する。
「統廃合が加速する可能性がある。それに加えて、教員の数が減れば、生徒と教員の比率が変わり、きめ細かな教育が維持できるか懸念もある」

高校の授業料無償化をきっかけに、変わる「学校の選び方」。その中で、公立高校がどう“選ばれる学校”であり続けるのかも問われている。

(テレビ新広島)

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