手話が語る福祉のコーナーです。光や人の視線などの刺激でストレスや不安を感じた時に落ち着きを取り戻すための空間、カームダウンスペースが広がりを見せています。現状を取材しました。

騒がしい場所や人が多いところにいると気分が悪くなるなど五感が過敏で日常生活に影響が出る感覚過敏。岡山市北区の就労継続支援A型事業所、ありがとうファームでアーティストとして、遊び心あふれるアートを手掛けるKAITOさんもその一人です。

(ありがとうファーム KAITOさん)
「大きな音や、ざわざわと色々な人の声が重なるのが得意ではない。色々な人の視線に敏感になる時もある」

こうした声を受けて3年前に開発されたのが「カームダウンスペース」です。光や人の視線などの刺激から逃れパニックになるのを防ぐための空間です。その特徴はすべてを遮断しないことです。

(佐藤理子アナウンサー)
「中に入ると天井は水玉模様のように穴が空いています。真っ暗ではなく程よい明るさが保たれていて、自然とリラックスできるよう工夫されています」

中は真っ暗にするのではなく、周囲の気配を感じられるようにほどよく光が入るようになっています。また、長さを調整できるロールスクリーンに加えて足元に30センチの隙間を設けることで、中の様子を確認できる工夫が施されています。

また入口は車いすも使用できる幅を確保し、壁には衣服などを再利用した素材を100%使用。環境にも優しくぶつかっても痛くない柔軟性も持たせています。

開発したのは総社市のメーカー、オーエム機器です。

(オーエム機器 小野雅明社長)
「どこにでも置けるサイズ感で、材料にもこだわって作ったものとなっている」

外の壁にはありがとうファームに所属するアーティストがデザインしたアートが施されています。

(オーエム機器 小野雅明社長)
「デザイン的にも良いものになった。こういう人がいるというのを色々な場所で知ってもらうきっかけにもなっている。空港に置くなら飛行機をモチーフにしたものをいれてほしいとコミュニケーションをとって、置く場所に合わせてアーティストにデザインしてもらうこともやっている」

開発後、大勢の人が集まる岡山市内の商業施設で実証実験が行われ、KAITOさんも実際に体験しました。

(ありがとうファーム KAITOさん)
「(以前は)お手洗いに入って、5分10分一息ついて出てきたりとういう落ち着き方をしていたので、社会からも出てきてもいいんだよと認められたようなうれしさがあった。ちょうどいい明るさと仕切りによる安心感とアナウンスの声も聞こえるがざわざわ感は落ち着いていたので、ほどよい静けさだとこの2つに感動した」

感覚過敏の啓発などを行う東京の感覚過敏研究所によりますと、カームダウンスペースは3月の時点で国内18の空港に設置されています。オーエム機器が開発した設備も岡山空港や大学など6ヵ所に設置され、2025年の大阪・関西万博でも活用されました。

広がりはこんなところにも。

サッカーJ1・ファジアーノ岡山の3月のホーム戦、スタジアムの4階に発達障害などがある子供でも安心して観戦できるようにカームダウンスペースを備えた専用のスペースが試験的に設けられました。この日は、発達障害がある子供たち4人が初めて観戦を楽しみました。

(旭川荘旭川学園 寺町清二園長)
「観戦に来る最初の一歩かなと思っていてありがたい。障害あるなしに関わらずスタジアムに来たいと思えるのでは」

(ファジアーノ岡山 森岡祐平さん)
「子供たちの観戦している様子を見ると、こういうものがあることによって安心して見てもらえる。色々な人に知ってもらい、利用してもらう機会を増やしたい」

ファジアーノ岡山は今回の導入を踏まえて本格的な設置を検討したいとしています。

カームダウンスペースを通して多くの人の声に耳を傾けてきた小野社長。開発前と比べて考え方にも変化があると言います。

(オーエム機器 小野雅明社長)
「多様性という言葉はよく聞くありふれた感じに今はなっているが、実際に現実社会に実装される時にどういうものが必要になるか、具体的な解決策を深掘りして考えることが習慣化している。身近な課題に携わる社会の一員として、一企業としてやっていくことがもっとあるのではないか」

特に人が集まるイベントや施設を運営をしている人に知ってもらうことで、誰もが安心して過ごせる環境づくりが広がるといいなと思います。

岡山放送
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