三重県は、南海トラフ巨大地震の被害想定を12年ぶりに見直し、3月30日、公表しました。最悪のケースで死者は最大で5万人、住民の半数以上が死亡すると試算された自治体もあるというのです。

■巨大地震に備えも…厳しい”被害想定”

熊野灘に面した三重県紀宝町の鵜殿地区、海からほど近い住宅街に2025年8月、津波から住民を守るための避難タワーが建設されました。

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避難スペースまでの高さは、南海トラフ地震の被害想定を超えるおよそ14mあり、高齢者や車イスの方も迅速に避難できるよう、スロープもついています。

屋根と壁で雨風がしのげる避難スペースには最大100人が収容でき、非常食300食分や水、毛布などが備えられています。

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さらに、授乳や着替えに活用できる個室を備え、女性にも配慮されています。

紀宝町では現在3基の避難タワーに加え、今後2基増やす予定です。

紀宝町防災対策課の担当者:
「いち早く逃げてもらうことが基本ですので、まずこちらに逃げて命を守っていただく。防災に関してもっと意識を高く持っていただけるような、紀宝町のシンボルとして皆さんに活用していただきたいと思います」

巨大地震への備えが進む三重県。そんな中、3月30日、県が新たな被害想定を発表しました。

名古屋大学の福和伸夫名誉教授:
「いずれも相当厳しい被害であって。南の方の町は、死亡率が5割にもなる。これはありえないこと」

新たな被害想定では、南海トラフ地震による三重県内の死者は最大で5万人にのぼり、住民の半数以上が死亡すると試算された自治体もあるというのです。

■死者の8割は津波で…わずか3分で到達の予想も

熊野市は、観光名所・七里御浜海岸など熊野灘に面した普段は穏やかな街ですが、県が公表した南海トラフ地震の新しい被害想定では、わずか3分で1メートルの津波が到達すると予測されています。

新しい被害想定によると、最大規模で南海トラフ地震が発生した場合、県内全域で震度6弱以上、中でも津市から伊勢市にかけて震度7と、強い揺れが襲うとされています。

熊野市に加え尾鷲市では、高さ1メートルの津波がわずか3分後、志摩市で4分後など、鳥羽市より南の全ての自治体が8分以内に到達するとしています。

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この結果、想定される死者は最大でおよそ50000人、その8割を超える4万1000人が津波によるものです。

さらに伊勢湾沿岸部では液状化被害も深刻で、木曽岬町や川越町で町の面積の76%など、県北部の広い範囲で、液状化が極めて高くなると想定されています。

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中でも紀北町は、人口の半数を超える8400人が死亡すると想定されています。

紀北町民ら:
「いざとなったら役場の屋上に上がろうかなと思っている。リュックサックを背負って逃げようと思っていて、リュックだけは用意してある」
「ここしか住むところが私たちはないです。来たら、まず逃げるということ」

■命を守るために…住民の意識改革を

一方で、被害想定では、避難意識が高まり住民全員が発生直後に避難した場合は、津波による死者が4分の1以下に抑えられるとしています。

被害想定を取りまとめた名古屋大学の福和名誉教授は、自治体だけの対応では命は守り切れないとして、建物の耐震化や高台移転などを含め、住民自身が意識を変える必要があると指摘します。

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名古屋大学の福和伸夫名誉教授:
「ほとんどの対策は、住んでいる場所と、命を守れる建物かどうかが大きくて。何が何でも地震が起きる前に、被害を大きく減らすような社会に大転換するしかない」

東海テレビ
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