料理の必需品、アルミホイル。キラキラした面とマットな面、どちらを食材側に向けていますか?熱の伝わり方が違う?くっつきにくいのはどっち?この疑問に終止符を打つべく、製造メーカーの工場に潜入し「正解」を徹底調査した。
料理家でも迷う“表裏”
アルミホイルの表裏について街で聞いてみると「マットの方がくっつきにくくなってるのかなぁ」「テカテカの方が、熱が通りやすそう!」「おにぎりもこっち(マットな面)側で包んでいたから…」と、長年の習慣でマットな面を内側にして使ういて、意見はバラバラ…

料理のプロなら知っているはず…と料理家の田中佳子先生に聞いてみると―
「キラキラしている方が、表(外側)で。マットな方が裏(内側)…えええー、みんなそう思ってないんですか?」
使い勝手の違いについては「いや…そこまで向き合ったことなかった」とやや不安げな表情。プロでさえも迷わせるこの問題、その真実を探るべく大阪へと向かった。
実は…どちらの面も性能に違いなし
訪ねたのは、国内の家庭用アルミホイル市場で売上トップのブランドをもつ「東洋アルミ」。大阪の八尾製造所は、国内最大規模のアルミ箔圧延・加工工場である。
調査に協力してくれたのは、生産技術チームリーダーの雪本剛志さん。さっそく―
「アルミホイルの表面ってどっちなんですか?」
すると…「正解は、表裏がないんです」と雪本さん。
なんと、一般的なアルミホイルに表と裏の区別はなく、どちらの面を使っても性能に違いはないというのだ。
ただし、一部の特殊な商品には例外がある。例えば、フライパン用のアルミホイルは片面にシリコーン加工が施されており、食材がくっつきにくくなっている。また、片面が真っ黒に加工されたアルミホイルは熱を吸収しやすく、オーブントースターで手軽に焼き芋が作れるよう工夫されている。
こうした特殊なホイルには使用面が決まっているが、ごく普通のアルミホイルは、どちらの面も同じように使えるのだ。
性能に違いがないのに、なぜ片面はキラキラ、もう片面はマットなのだろうか。その理由は製造過程にあるという。
アルミホイルが日本に登場したのは1930年代
製造過程について知る前に、まずはアルミホイルの歴史から。シート状のアルミホイルが誕生したのは1911年。ドイツ人が開発した当初は湿気を嫌う食品の包装材として使われていた。

日本には1930年に入り、チョコレートやタバコの包装材として普及。そして1958年、「東洋アルミ」が日本で初めて家庭用アルミホイルを発売した。

発売当初0.015mmだった厚さは、現在主流の0.011mmへと進化。これは「髪の毛1本ぐらいの厚さ」だという。ホイルだけでなく、箱も進化を続けており、よりスムーズに切れるよう刃の材質や位置に改良が重ねられている。
製造工場に潜入調査!
今回は、特別に許可をもらい企業秘密だらけの製造工場へ潜入した。

工場に入り、まず目に飛び込んできたのは重さ4トン弱にもなる巨大なアルミ板の塊(アルミコイル)。厚さ0.3mmの原判。サンホイルに換算すると約7万本になるという。

このアルミ板を「圧延機」という機械に通し、何度も何度もローラーで押し延ばして薄くしていく。

この圧延の工程では、両面ともキラキラと光沢があるのだ。
では、マットな面はいつ生まれるのか。秘密は最終工程の「重合圧延」にあった。

アルミ箔は非常に薄いため、1枚だけではそれ以上薄くするのに限界がある。
そこで、2枚のアルミ板を重ねて同時に圧延することで、効率よく薄くしていくのだが、この2枚重ねが、見た目の違いを生み出すのだ。

雪本さんが、圧延後の2枚を剥がして見せてくれた。すると、合わさっていた内側の面が、おなじみのマットな面に変化していた。
「外側は、ロールの艶々した表面が接して光沢のある面に。金属同士が重なっている内側は表面に凹凸ができており、光が乱反射して白っぽくみえる」と雪本さん。
手で触っても分からないミクロの世界の凹凸が、光の反射を変え、あの見た目の違いを生んでいたのだ。
知らなきゃ損!アルミホイル使いこなし術
表裏の謎は解けたが、アルミホイルの奥深さはこれだけではない。正しい保管方法から、驚きの裏ワザまで、知って得する活用法を紹介する。
まずは基本の保管方法。アルミホイルは金属のため、湿気の多い場所や湯気が当たる場所は腐食の原因になるので避けるべき。

また、縦置きすると、端に衝撃が加わって固まりスムーズに引き出せなくなることがあるので、保管は「水平に置く」のがおススメだ。
次に、裏ワザを3つ。
一つ目は、チーズの保存。
チーズ店の店主によると、青カビや白カビチーズは光に弱いため、アルミホイルで包んでタッパーなどに入れておくと比較的長持ちするという。
二つ目は、煮物の落とし蓋。アルミホイルをくしゃっとさせて鍋にかぶせると、熱を逃がさず、アク取り効果も期待できる。
東洋アルミによると、消費者から「煮物の染みこみがとっても良い」という声が多く寄せられているという。
三つ目は、料理家の田中先生が教えてくれたテクニック。切り込みを入れたバゲットに、丸めたアルミホイルを挟んでからオーブントースターで焼く。

すると、焼き上がった後もバゲットがパカッと開いたままになり、崩さずにたくさんの具材を盛り付けられる。お店のようなボリュームサンドが家庭で簡単に作れるアイデアだ。

