袋いっぱいに詰まったポテトチップスを取り出し、パリパリと音を立てて一枚ずつ食べる…。

このような時間が至福のひとときという人は多いかもしれない。そして、誰かが食べている音を聞いたら自分も食べたくなる…ということも“あるある”ではないだろうか?

そんなポテトチップスに関して今、面白い試みを行うサイトが話題となっている。

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噛むほどうまい、堅あげポテト。

というフレーズとともに、画面の中央にあるのは1枚のポテトチップスと「噛」という一文字。その下には1兆桁まで数えられるカウンターが見える。

これはカルビーが11月1日から開設しているサイト「無限咀嚼」。「噛」のアイコンを1回クリックすると、「カリッ」「パリッ」という小気味よい音とともに、ポテトチップスが徐々に細かくひび割れていくのだ。

クリックするたびに、ポテチを噛む音とともにひび割れていく。
クリックするたびに、ポテチを噛む音とともにひび割れていく。

すると、1回ごとにカウンターの数字が増えていく仕組みとなっている。「無限咀嚼」のテーマは、“堅あげポテトを噛む音を好きなだけ鳴らすことができる”ことだという。

でもなぜ「咀嚼音だけを延々と鳴らす」というアピールを考えたのだろうか。また、社内外の反応はどうだったのだろうか?

カルビーの広報担当者に話を聞いた。

堅あげポテトはASMR(音フェチ)動画と特に相性がいい

――このサイトを作った経緯を聞かせて。

大学広告研究会の大会である「Adfes」にてグランプリを獲得した、「神戸大学広告研究会 AdTAS(アドタス)」さまのプロモーション案を実現したものです。

「堅あげポテトの価値を伝える」ということを課題に、大会参加者の皆さまに対してオリエンテーションを実施し、全8校から13件の企画をいただきました。

その中でも最もおもしろく、課題解決が期待できる「無限咀嚼」がグランプリに輝き、実現するはこびとなった次第です。

――このサイトの企画や制作はカルビーだけ?

先ほどの話の通り、企画をしてくださったAdTASの皆さまのアイディアを、広告代理店さまや制作会社さまのご協力により、こうしたサイトとして実現することができました。

――ASMR(音フェチ)動画などが流行っていることも関係している?

大いに関係しています。

堅あげポテトは伝統的な釜揚げ製法で作られており、少量ずつ長時間かけてじっくり揚げることで、最大の特徴であるカリカリッとした程よい堅さの「噛むほどうまい」食感に仕上げています。

この小気味よい咀嚼音を聞くことで、改めて堅あげポテトの価値である食感と、噛むほどうまいおいしさを想起していただきたい、という意図もあります。堅あげポテトはASMR動画と特に相性がいい商品だと思っています。
参考記事:1,000万回超再生“音フェチ”動画が人気 “癒やし”の音 ASMR

何度も録り直した咀嚼音の収録、難しかったのは?

――「噛む音」だけを流すというアイディアに対し、社内ではどういう反応だった?

シンプルながら、堅あげポテトの価値をお客さまに伝えるのにとても効果的な手法だなと感心しました。
しかし、社内に説明をするのが難しく、「堅あげポテトをいくらでもカリカリできるサイトなんです」と説明しても、「それでお客さまに楽しんでいただけるだろうか」、と上司にかなり心配もされました。

それでも「若年層に堅あげポテトの魅力を届けるためには、大学生の若い感性を信じるべきだ!」という思いのもと、大学生ならではの発想をもとに、サイトの仕様や思わずくすっとくるようなおもしろい要素を決めていきました。

結果として、たくさんのお客さまに楽しんでいただけているのを見て、とてもうれしく思っています。

――サイトで使われているのは、誰が噛む音なの?

弊社の社員及び、AdTASのメンバーや代理店さまにもご協力いただき、実際に堅あげポテトを食べながら録音した咀嚼音を使用しています。

――何パターンくらい録ったの?

1枚の堅あげポテトを噛み終わるまでの、(1)噛みはじめ、(2)半ば、(3)おわりで3パターンを録音しました。美味しそうな音を録音するのは非常に難しく、OKが出るまでこれを何度も録り直しています。

とてもたくさんの堅あげポテトを食べたので、何袋分というふうに換算するのは難しいのですが、途中飽きないように味を変えながら収録しました!(笑)

最終的には9パターンの音声をサイトに採用しています。

噛む音を収録した際の様子
噛む音を収録した際の様子

――収録で難しかったところを教えて。

音がクリアに聞こえるように口を若干開けたまま噛むのが難しかった
です。
また、実はごくたまに咀嚼音ではなく、特別なセリフや効果音が流れることがあります。声色や滑舌に気を付け、聞き取りやすくおもしろみのあるセリフを目指しました。

――サイト制作の際、こだわった部分はどこ?

堅あげポテトならではのカリカリッという美味しそうな咀嚼音をお届けできるように音には非常にこだわりました。

実は、サイト上で割れていく堅あげポテトの形に合うように音をはめ込んでいます。これにより、実際に堅あげポテトを食べているような気持ちになっていただけるのでは!と思っています。

「1日平均100万回弱もの回数、噛んでいただいております」

――現在、サイトのポテトは1日にどのくらい「噛まれて」いるの?

現時点11月13日)では、1日平均100万回弱もの回数、皆さまに噛んでいただいております。

――キリ番で「堅あげポテト」をもらえるそうだが、応募の方は順調?

11月9日時点で1000万噛までのキリ番は達成されており、皆さまには当初予想していたよりもハイペースで参加いただいております。1000万噛目達成は土曜日の夜だったのですが、堅あげポテトの商品企画・開発担当者全員で見守り、1000万噛達成時には歓声があがりました!

――ダイエットなどをしている人にとって、サイトで遊ぶうちにポテトについつい手が伸びてしまう恐れもありそうだが?

ミュート機能を搭載しておりますので、音を鳴らさず遊んでいただくことも可能となっております。個人的には、たまには欲望を解き放って制限を忘れ、堅あげポテトを召し上がっていただくのもいいのでは?とも思います!

キリ番というワードに好感を持つ人も多数登場

――すでに「噛んだ」人たちからの反応や声は?

「音を聞いていると食べたくなってくる」や「クセになる」など、うれしいお声をたくさん頂戴しております。

――サイトが話題になっているが、社内外の反響を教えて。

非常にご好評いただいております。意外だったのは、「キリ番」というワードの懐かしさに好感を持たれる方が多くいらっしゃったことです。「キャンペーン対象にならないキリ番でもゲットできると嬉しい」と言ってくださる方も多くいらっしゃいます。

――キャンペーン終了後も噛む音を鳴らして楽しむことはできる?

大変ご好評いただいておりますので、キャンペーン終了後もサイトを残すことができるよう、現在調整中です。

――最後に、ポテト好きの人に一言コメントをもらえる?

日頃よりご愛顧いただきましてありがとうございます。

「無限咀嚼」は、堅あげポテトの大きな魅力のひとつである、「嚙み音」をただひたすらに延々と楽しめる、夢のようなサイトとなっております。

堅あげポテトが好きな方はもちろん、今まであまり食べたことがなかった方も、ぜひカリカリしてみてください。

「ポテトチップスの噛む音を鳴らし続ける」という、面白さに注目がいきがちなサイトだが、カルビーをはじめとした関係者の強いこだわり、熱い思いが込められた企画だということが分かった。

11月26日17時までは「あげつくす!堅あげ大放出祭」と題し、10万回、100万回、500万回、1000万回、1億回といったカウンター上のキリ番をゲットすると、該当者に堅あげポテトうすしお味をプレゼントするという。

気になる方はサイトを訪れ、是非おいしそうな“噛む音”を楽しんでほしい。


(画像提供:カルビー)

プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。