過去最大規模、人口の4分の1が参加したデモ

6月16日、香港の中心部の主要道路を埋め尽くしたデモ隊。

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主催者発表によると、デモの参加者は約200万人。200万人といえば、香港の人口の4分の1にあたる。
香港返還以降、最大規模のデモとなった。

デモの原因となっているのは、中国本土へ容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」の改正案だ。

逃亡犯条例改正案の撤回を求め、デモ隊が議会周辺の道路を一時占拠。警察が催涙ガスやゴム弾を使用してデモ隊を強制排除する事態となった。

デモを受けて香港政府は、条例改正の審議を「無期限延期する」としたが、デモ隊は条例の「完全撤回」を求めており、抗議活動が収まるかは不透明だ。

救急車に道をゆずる…“親切動画”が話題

この香港の大規模デモで話題となっている動画がある。

道路が数えきれないほどのデモ隊で埋め尽くされている。
よく見ると、画面の奥には1台の救急車が…。

それに気づいたデモ隊が一斉に両脇に移動。

救急車を通すための道を作ったのだ。

この動画は世界中に拡散された。

「礼儀正しい人々だ。フランスじゃ見られない風景だよ」(フランス人のコメント)
「ワォ!アメリカだったら救急車の上にジャンプしているよ」(アメリカ人のコメント)

この時、現場に居合わせたデモ参加者に話を聞くと…

デモ参加者の男性:
誰かが救急車が通るぞと叫んだ。すると、たくさんの人が立ち上がって、一人一人に伝わっていった。たくさんの人が譲り合って礼儀正しかった。

さらに別の動画でも、バスが通る際にデモ隊が道を空け、バスがスムーズに走っている。

テレビ記者にも“親切”に…

また、アメリカのテレビ局の記者がこんな場面に遭遇した。

催涙ガスやゴム弾などが飛び交う危険な現場を取材していた記者に、突然、デモ隊が近づいてきた。そして、手渡されたのは、催涙スプレーから身を守る傘だった。

さらに別のデモ隊は、ヘルメットをアメリカのテレビ局の記者にかぶせたという。

このデモ隊の“親切な行為”に対してこの記者は、「デモ隊の人たちは私を助けてくれました。ここで取材ができるように守ってくれています」とリポートした。

デモ隊がゴミを分別する動画も…

さらに、ペットボトルや空き缶などを分別するデモ隊の動画もあった。

大規模デモから1日経過した6月18日の現場を見てみた。

デモ参加者は「道は綺麗です。ゴミが落ちていません。現場には自発的にごみを収集する人たちがいます」と説明してくれた。

確かに、若い学生がゴミ袋を持ってゴミを集める姿が見られた。

“親切動画”の裏にある香港の事情とは…

こうした動画について香港の社会に詳しい専門家に聞いた。

立教大学・倉田徹教授:
デモ隊自身が市民に嫌われないように工夫しています。とにかく自分たちのスマホで撮った動画をネットに載せたりとか、一生懸命拡散させようと努力をしている人が多いと思います。
動画によってデモの賛同者を増やしていくという効果はあると思います。

倉田教授によると、香港では、テレビや一部の新聞が中国政府側に有利となる情報を流しているという事情もあり、今回のデモ隊の行動はほとんど報じられず、SNSで拡がりを見せているという。

(「めざましテレビ」6月18日放送分より)