――「浮き指」の予防は?

子どもたちのためには、足の指を使わないと歩けないフワフワのマットの上で遊ばせるような大掛かりな施設があります。

また、草履や下駄など鼻緒がある履物は、実は非常に理にかなったフットウエアです。私達の足の指は何かを挟むと指が曲がります。つまり、鼻緒がある履物は、必ず指を接地しながらしか歩けないのです。鼻緒が抜けてしまわないよう指をぎゅっと挟むため「浮き指」にはなりません。
こうして足にある内在筋という、足の指を安定させる筋肉を使っていると自然に骨盤が締まっていきます。

(画像はイメージ)
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浮き指は「もとに戻ることはない」

――「浮き指」になっても治すことはできる?

特殊な姿勢を診るレントゲンで統計的に調査したところ、トレーニングをしても元に戻ることはありません。ただ、トレーニングをしている人はやり始めた時から、脊椎や足の変形が進行せずに止まります。トレーニングを続けている人と、すぐにやめた人を、同じように5年に1回のレントゲンを撮り続けたところ、やめた人は経年的にどんどん変形が進んでいました。


――「浮き指」はこれから、さらに大きな問題になっていく?

「浮き指」に関する様々な発表が行われていますが、現状では専門家だけの話で留まり、メディアでもあまり取り上げられません。その原因の一つは、整形外科のドクターたちが姿勢に関しての関心が低いことです。

興味は持ってるとは思うのですが、どうしても内視鏡手術や人工関節の開発などが脚光を集めているため、O脚や外反母趾、姿勢が脊椎の変形する原因になっていることなどは、あまり脚光を浴びていません。

ただ「浮き指」について世間の関心度は高いと思います。自分の子どもの指が床に付いてるのか知りたい親御さんもたくさんいると思いますし、外反母趾やO脚は女性の方はすごく関心度が高いでしょう。


――これからの「浮き指」問題を防ぐためにどんな働きかけをしている?

姿勢の問題は、朝起きた瞬間から夜寝るまでずっと毎日続きます。これを変えるには、1カ月に1回のトレーニングをしても、1週間に30分鍛えても全く効果はないと思います。

そこで私たちは、子どもたちが学校に行くたびに、足指の指導を受けられるように働きかけています。低学年の子どもには、足の指でタオルの引っ張り合いをしたり、ビー玉をつかんで器に入れたりする遊びをいろいろ考えて教えています。楽しみながら足の指が器用になり、知らぬ間に、指が地面に付いて、体が楽になります。

(画像はイメージ)
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歩き始めの1歳頃から関係があり、その影響は大人になってから出る可能性があるという「浮き指」。もとには戻らないとのことだが、トレーニングで進行を止めることができるのであれば今から始めるのも遅くはないのではないだろうか。

プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。