今、伊藤園のテレビコマーシャルが注目を集めている。日本初という、「AIタレント」が出演するCMだ。
番組では、AIタレントに対する街の意見や、海外の状況を取材した。
「好きな俳優の仕事奪う」「不祥事ない」様々な意見
“健康的で明るい未来”をコンセプトに作った、「お~いお茶カテキン緑茶」のテレビCM。

白髪で目じりにしわがある女性が、現在の姿に若返る演出が印象的だが、出演している女性はなんと、AI(人工知能)技術で生成された「AIタレント」だ。

伊藤園によると、CMでAIタレントを出演させるのは日本初だという。
伊藤園 広告宣伝部・上條裕介さんは「同一人物に見えるかという課題があった中で、今回AI、この方から30年後の姿もAIで見られるという手法が、一番、今回は最適だと考えました」と採用の経緯を話す。
CMのコンセプトである「健康的」で「明るい」未来を狙い通りに表現できることが決め手だという。

街の人たちの反応はどうだろうか。CMを見てもらうと…
女性(30代):
えーうそ!ビックリしました。AIなんですか?
女性(20代)2人組:
AIですか? えー!なんか今はやってるよねAI。
全然気づかないです。
言われても気づかない(笑)
一方で…
女性(20代):
好きな俳優さんがいる方だったら、起用されなくなったら悲しいかなと思う。
女性(20代):
不祥事を起こすことはないじゃないですか。AIって。
AIタレントが好きな俳優の仕事を奪うのではという不安や、不祥事の心配がないという意見など、さまざまな声が聞かれた。
海外の状況は?専門家「人間ならではの“ミスや個性”に原点回帰も」
すでに隣の韓国では、AIタレントの採用が活発化している。

4人の女性が近未来的な映像をバックに、歌って踊る映像。
この映像の主役は2023年1月、AIが2日間で作り出したバーチャルアイドルグループ「MAVE(メイブ)」だ。

ミュージックビデオは、これまでに2600万回再生を超えるほどの人気を博している。
こうしたAIタレントをめぐる動きについて、人工知能を専門とする慶応大学・栗原聡教授は「表面的に、タレントさんの仕事が奪われるという問題に直結するのは、間違いないと思うんですよね」と指摘する。

映像表現におけるAIの役割については2023年7月、アメリカ・ハリウッドで俳優組合が踏み切ったストライキで、要求の中に“俳優がAIに役を奪われないこと”が盛り込まれ、話題となった。
栗原教授は、“危険なスタント撮影や人数が必要なエキストラには、AIタレントが向いている”と説明。

その上で、AIとの共存について「人間ならではの味付けとか、もしかしたら“無駄”とかちょっとしたミスとか個性とか、そういったことに対する原点回帰というか。戻ってくることはあるんじゃないかな」との見方を示した。
(「イット!」10月18日放送より)