戦いの舞台は鳥取砂丘。
日本で初めて月面探査の技術を競う大会が開かれました。
3月、鳥取県で行われた日本初のある大会。
鳥取県が近年進める地域資源を生かした新たなビジネスチャンスの創出とは。
長い年月をかけ、砂と風によって作り上げられた日本最大級の砂丘「鳥取砂丘」。
3月、鳥取砂丘に隣接する施設で、国内で初となる大学生チームらによる月面探査ローバー技術を競う全国大会「鳥取ローバーチャレンジ2025」が行われました。
競技は、障害物を自律的に走破する「自律走行ミッション」や、月面での資材輸送を模擬した「無人建設ミッション」など、複数のミッションの達成状況を競います。
なぜ今回、国内初となる大会を鳥取で開催したのか。
その理由が、この土地の持つ地域資源、鳥取砂丘にありました。
砂丘のきめ細かい砂や起伏に富んだ地形が月面環境と酷似しているとして、砂丘に月面を模した実証フィールド「ルナテラス」を整備。
今回のような学生チームによる大会の開催をはじめ、月面開発に取り組む国内外の企業や研究者が交流する拠点としての役割を担い始めたのです。
KARURAプロジェクト・辻紅那代表:
他のチームと交流できるすごくいい機会。気軽に来られるという意味で、こういう場所(鳥取)で大会があるのは、メンバーの経験値としても、モノづくりの大会を経験するのは、すごく大事ですし良かった。
ARES Project・阿依ダニシ代表:
僕ら自身は互いのロ-バーを見て、もっとすごいローバーを作りたいというモチベーションがすごく上がる。他の人たちは「鳥取で宇宙に関連の大会をやっている。僕らもチーム作ろう」となる。すごく意義のある大会になっている。
鳥取県は、こうした宇宙産業創出の取り組みを2021年から開始。
鳥取市内の金属加工会社「MASUYAMA-MFG」は、県の後押しもあり、超小型人工衛星のボディーや国際宇宙ステーションで使われる器具の部品の製造を始めました。
MASUYAMA-MFG・益山明子代表:
(企業)単体で動くと、宇宙ビジネスに入るのはハードルが高い。行政としてバックアップしてくださるところで、われわれもその中に入る。われわれの作ったものが宇宙に飛んでいる。自分たちの仕事に誇りを持てた瞬間で、すごくいい体験をしました。
これまでは自動車関連の部品などを製造していましたが、コロナ禍で一時、仕事が激減。
しかし、宇宙ビジネスの推進をきっかけに市内の若手人材も新たに入社するまでになりました。
雇用機会の創出に加え、鳥取に拠点を置く宇宙スタートアップも登場。
まだ取り組みを始めて4年ですが、地域資源を活用した宇宙ビジネスは地域の未来を担う産業の一つに成長しつつあります。
鳥取県産業未来創造課・井田広之課長補佐:
実際に人が移住したり、企業が拠点を移すことも目標だが、その手前に鳥取県とご縁ができ鳥取県にゆかりができて、鳥取のファンになっていただく。食べ物がおいしくて、戻ってから「おいしかったよ」と発信いただくとか、関係人口が増えていくと(地域に)プラスになると思います。