私がお伝えしたいのは「防災もサブスクで」です。

9月1日の「防災の日」を前に、都内のビルでは、災害発生時に入居する複数の企業の従業員が使う食料や水などの防災備蓄をビルの倉庫で一括管理・提供する月額サービスが始まりました。

調達から賞味期限の管理まですべてお任せで、1人数百円です。

ポイントはこちら。「防災サブスクで不動産価値もアップ!」注目です。

【注目ポイント・記者解説】

東日本大震災の際、多くの人が帰宅困難者となったことから、東京都の条例で、企業は従業員の3日間分の食料や水の備蓄に努めるよう求められています。しかし、東京商工会議所が今年行った調査では、3日分の備蓄ができている企業は飲料水で47.6%、食料で36.7%といずれも半数以下にとどまっています。

なぜ、防災備蓄が十分でない企業が多いのか。その大きな理由として「保管スペースを確保するのが難しい」ことが挙げられます。そこに目を付けたのが、スタートアップ企業の「Laspy」です。

企業に代わって備蓄するスペースを確保し、備蓄品の調達から賞味期限の管理、提供まで一括で担う月額制サービスを提供します。料金は1人あたり月額数百円で、従業員の人数に応じて企業から受け取る形のサブスクリプション、いわゆる「サブスク」サービスです。

8月下旬、都内のオフィスビルでは、サービスの説明会が行われていました。ビルのオーナーでオフィスを貸す「平和不動産」が、入居企業向けにビル内の倉庫を活用してこのサービスを導入することにしたのです。

災害が発生した場合、契約した企業はスマートキーで管理された倉庫のドアを開け、指定されたロッカーの中から水や食品、防災トイレなどの備蓄品を必要に応じて運び出す仕組みです。

説明会に参加した従業員わずか十数名のスタートアップ企業の役員は、「防災備蓄は準備しなければいけないとわかっているが、我々のような小さな会社だと、スペースの問題だけでなく備蓄管理専任の担当者を付けることも難しい。その点、備蓄品の管理や入れ替えまで任せられるというのはすごく魅力的なサービスだと思う」と話します。

また、「Laspy」が味にこだわって選んだという備蓄品のパンやクッキーを試食すると、参加者からは「美味しい。自分たちで用意するとなると、どうしてもコスト優先で選んでしまうので、その点も嬉しい」といった声も聞かれました。

実は、「Laspy」の薮原拓人社長がこのサービスを考案したきっかけは、コロナ禍で目にしたスーパーなどでの買い占めの現象だったといいます。

「必要なときに必要な物が手に入らないといった世界を変えたい。街や建物、コミュニティに自然に備蓄が配備されている社会を創っていきたい」と話し、今後はオフィスだけでなくマンションなどにも拡大させていく方針です。

一方、オフィスを貸す「平和不動産」もこうした入居企業に対する課題解決型のサービスの導入は、ビルとしての価値を高めることからビジネスチャンスとみていて、「ニーズがあれば他の物件にも拡大していきたい」としています。

(フジテレビ経済部 茅野朝子)