ASEAN=東南アジア諸国連合が8月、対面で開く外相会議の共同声明案が明らかになりました。
インドネシアやタイなど東南アジア10カ国から構成されるASEANの外相会議は、8月にカンボジアの首都プノンペンで対面形式で開かれ、共同声明が取りまとめられる予定です。
今回明らかになった声明案では、フィリピンなどASEANの一部の加盟国と中国との間で領有権争いがある南シナ海の情勢について、「地域の平和と安定を損ないかねない土地の埋め立てや深刻な出来事に対し、一部の閣僚が懸念を表明した」と明記しています。「懸念」の表現を盛り込み、名指しは避けながらも、海洋進出を強める中国をけん制した形です。
また、ASEANが中国との間で策定を目指している南シナ海での紛争を防ぐためのルール「行動規範」については、「策定作業の第2段階が2022年末までに完了することを期待する」として、早期の妥結に意欲を示しています。
ロシアによるウクライナ侵攻については、「即時停戦の重要性を強調する」という表現にとどまり、これまでの声明と同様、ロシアの名指しや「侵略」の表現は避ける“玉虫色”になっています。
ASEANで唯一、シンガポールはロシアに対する制裁に踏み切っていますが、伝統的に深い関係を築いてきたラオスとベトナムは、ロシア軍の即時撤退を求める国連決議案の採決で棄権するなど、加盟国の間で温度差があることが背景にあります。