福島県内では、紅葉が見ごろを迎えている。下郷町の観音沼森林公園では、日の光も浴びて絶景が広がる。一方、このような絶景スポットをめぐっては、頭を悩ませる事態も発生している。
■見ごろを迎えた紅葉の名所
水面に反射した光が紅葉をきらめかせる、観音沼森林公園。訪れた人は「ここは優しい感じの紅葉。自然な感じですごく良い」と話す。
赤や黄色に色づいた木々が大きな沼を囲んで絶景を作りあげ、今週いっぱいまでは紅葉が楽しめる。(2025年11月6日撮影)
絶景を焼き付けようと夢中でシャッターを切る人も…夢中になり過ぎると心配なのがクマとの遭遇だ。
観音沼森林公園では、10月に恒例のライトアップを実施したところ、周辺でクマの目撃情報が寄せられ中止となった。
福島県内では、11月5日までに1530件の目撃、22人の人身被害が発生しともに過去最多となっている。
■クマ出没情報を注視する名所
判断に揺れているのが、これから見ごろを迎える名所・新宮熊野神社だ。
樹齢800年、国の重要文化財にも指定されている「長床(ながとこ)」の大イチョウ。
毎年見ごろに合わせて行われるライトアップが人気で、年間で神社に訪れる人の約半分は10月から11月に集中する。
神宮地区重要文化財保存会の田部文市さんは「一番はクマ。他の地区で、出ていますから、それが一番困ります」と話す。
地区でまだクマの目撃情報がないため、見ごろに近づく11月15日からライトアップを始める計画だが、出没情報があればすぐに中止するとしている。
田部さんは「やはり心配なので、保存会全員で見ていきたい」と話した。
■災害級の事態に
クマの出没は全国的な問題にもなっている。
11月6日に、北海道と東北、新潟の知事が出席して行われた会議では、ハンターの確保や予算の拡充など国に対する提言が協議されている。
秋田には自衛隊が派遣されるなど、まさに「災害級」の事態となっている。紅葉を楽しむ際には、周囲に十分気を付けてほしい。