シリーズ特集です。
東南アジアの国、ラオス。アジア最貧国で支援を続ける日本人たちの思いに迫ります。
シリーズ「ラオスと広島」第三弾です。
きらびやかな寺院、異国情緒あふれる街並み。
ハーブや野菜をふんだんに使った料理。
活気あふれるナイトマーケット。
東南アジアの国・ラオスは、伝統文化が今に受け継がれ穏やかな時間が流れています。
その一方で、途上国の中でも経済発展が遅れている“後発開発途上国”とも言われています。
そのラオスを日本は様々な分野で支援しています。
ラオスの「教育省」に勤務する長岡康雅さん。
ラオス政府の「アドバイザー」です。
ラオスを支援する国や団体の“橋渡し役”として調整や連携などを行っています。
【JICA専門家・長岡康雅さん】
「いろんな援助機関があって混みあっているので、交通整理をしたり、重複しないようにしたり連携をしたりしている」
ユニセフの調査では東南アジアの6カ国のうちラオスが最も学力が低いという結果に…特に、算数は学習達成度が著しく低い状況です。
そんな中、長岡さんたちは算数の教科書の作成に取り組んでいます。
【JICA専門家・長岡康雅さん】
「ラオスは本を読む文化がない。先生も指導書を読まないし、子どもも読むことがない。教え方も日本が支援している。ポイントは生徒に考えさせる授業」
教室には集中して授業を受ける子どもたちの姿がありました。
【小学校4年生】
「勉強が楽しいです」
「将来は学校の先生になって、たくさん勉強して、学んだことを子どもたちに教えてあげたいです」
途上国の人々に向き合い続ける長岡さん。
【JICA専門家・長岡康雅さん】
「援助って届かないんですよ、意図した通りには。円滑に援助が届くようにうまく回るような活動を中央レベルでしたい」
一方、日本で学び、母国に貢献したいと活動するラオスの国会議員がいます。
カンパシット議員(47)です。
2002年から2年間、広島大学大学院で教育行政学などを学びました。
その間には、原爆資料館にも足を運んだカンパシット議員。
平和は戦争がないだけではなく、お互いの理解や思いやりによって成り立つものだと学んだといいます。
その平和を実現するために重要となるのが、「社会を支えるルール」づくり。
つまり、法の整備です。
【ラオスの法整備を支援・矢尾板 隼さん(40)】
「未来をつくっている感じがあって、すごくやりがいを感じる」
矢尾板 隼さん。広島地検などの検察庁や法務省で勤務。
その後は自身の経験を生かし、ラオスの裁判所や検察庁の職員などと一緒に、“法律の適用や解釈”などをサポートしています。
この国の現状について矢尾板さんは…
【JICA専門家・矢尾板 隼さん】
「法律というのが、絶対守らなければいけないというより、なるべく守ったほうがいいものというふうにとらえている部分もある」
一般市民だけでなく、法律関係者にも課題が多くあるといいます。
【JICA専門家・矢尾板 隼さん】
「こういう法律は、こういうふうに解釈されるので、この場合はこういうふうに適用されると、順序立てて考えるのが、かなり難しいのだろうなと感じている。課題はいろいろあるんですけど、どの方もラオスをよくしたいとか、国民から信頼されるようになりたいという思いを持っている。国をよくするために少しでも手伝うことができるのは素晴らしい」
“国の根幹”に関わる法整備の支援。
矢尾板さんは、やりがいを感じています。
【JICA専門家・矢尾板 隼さん】
「緊張感もありますし、その国独自の価値観もかかわってくるので、方向性を誤ってしまうととんでもないことになる。いい方向に進んでいくようなレールを敷くというか、そういうところは残りの任期期間にできればいいなと思う」
ラオスの様々な課題に向き合う人たちの奮闘は、続きます。
<スタジオ>
【コメンテーター:広島大学法学部長・吉中信人教授】
ラオスも法整備は出来てきているが、それをどう守っていくかという順法精神、これを高めていくことが必要。時間をかけて法律を守る風土をつくることが必要。