玉名郡玉東町出身の俳優・柳 明日菜さんが、熊本を舞台にした映画『レイニーブルー』を製作しました。メガホンをとるのは今回が初めて。デビュー作に込めた思いに迫ります。

おととし、人吉市で開催された『くまもと復興映画祭』。この日、上映された映画で主演を務めたのは、玉東町出身の俳優、柳 明日菜さんです。

【映画祭ディレクター 行定 功 監督】
「柳さん、せっかくだから顔見せて。こういう顔で彼女があの役をするのはかなり難しい」

彼女が映画の世界に足を踏み入れるきっかけになったのは、この『復興映画祭』でした。

【柳 明日菜さん】
「(映画から)パワーをもらって。将来、何を目指したらいいのか見えていなかったので、言葉にはできない何かしらの答えをもらったのが2021年の復興映画祭」

そんな柳さんには、ある夢が生まれていました。

【柳 明日菜さん】
「〈自分も映画作ってみたいな〉って地元の乗りで、仲間たちと小さくてもいいから温かいものを作る」

熊本のイベントをきっかけに、映画に引き込まれた熊本出身の少女が熊本で映画を作りたい。その思いに多くの人が賛同し、製作が始まりました。

【柳 明日菜さん】
「監督と脚本を務める柳明日菜です。いい作品が作れるように、たとえ失敗したとしても悔いが残らないように全力でやるので、皆さんもついてきてください」

まずは出演者のオーディションです。40人の出演者枠に約120人もの応募がありました。

役者経験がある人から全くの初心者まで。さまざまな人がそれぞれの思いを込めて映画への出演を目指し、アピールしました。

そして、初顔合わせ。出演者たちと、役に対するイメージを話し合い、脚本の細かい部分や衣装などを決めていきます。

【出演者】
「地元出身の子が監督で映画を撮るというのが今までになかったことなので(応募した)。地元の高校の先生役なので、熊本弁をフルに使って、しっかり生徒を注意できるようにしたい」

【柳 明日菜さん】
「今は準備段階だが、クランクインが待ちきれない。早く撮りたい」

そして、待ちに待ったクランクイン。この日の撮影現場は、柳さんの母校でもある県立玉名高校です。

主演も務める柳さん。監督としてはもちろん、自らの演技でも撮影を引っ張っていきます。

【柳 明日菜さん】
「自分の撮りたいイメージの画がちゃんと撮れているのと、私が分からないときはプロの撮影部の人や演出部の人が教えてくれるので、すごく自分でも勉強になって、すごく面白い時間で、アッという間だった」

そして、今年、2年余りの制作期間をへて、柳さんの監督デビュー作がついに完成しました。タイトルは『レイニーブルー』です。

【レイニーブルー予告編】
(柳さん演じる中山 蒼は、笠智衆に憧れる女子高校生。進路や人間関係に思い悩む若者の姿を描く)

【柳 明日菜さん】
「私が当時高校生で、学校に行けなかった時期があって、好きな映画をやりたかったが、周りは就職したり進学したり夢がある中で、私は好きなことをやるということにすごく葛藤を感じていた。そういった時の思いを思うがままに表現した脚本なので、何かを変えてほしいとか変わってほしいというよりかは、一緒に心を震わせてほしい」

『レイニーブルー』は、3月に開かれた『大阪アジアン映画祭』で世界初上映。その反響に、柳さんも手ごたえを感じたようです。

【柳 明日菜さん】
「『画の構図がとても美しく感銘を受けた』と書いてくださる評論家の人もいて、〈監督作デビューは地元の熊本で撮りたい〉というのがあったので、そういうところを魅力的に表現できたというのが自分でもうれしい。実際にこうして作り上げることができて、多くの皆さんに関わってもらい、たくさんの人に出会えて自分が変われた作品になった」

俳優として、そして、映画監督として。柳さんはこれからもフィルムを通して、自らの思いを表現していきます。

映画『レイニーブルー』は、熊本市の映画館『デンキカン』で7月から上映が始まるということで、20日から前売りチケットが販売されています。

「映画で人生が変わることもある」と言う柳さんの思いのもと、高校生の料金は500円とするなど、特別料金が設定されているということです。

テレビ熊本
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