大阪・関西万博を運営する博覧会協会の高科淳副事務総長は20日夕方の記者会見で、開場時間を現在の「午後10時まで」から1時間延ばし、「午後11時まで」とする案について、「時間を変更するのは、慎重であるべきだというのが協会の現状認識ということになります」と否定的な考えを述べました。
この「会場時間延長」案は、BIE=博覧会国際事務局のケルケンツェス事務局長が17日、博覧会協会の副会長でもある、大阪府の吉村知事と面会した際に提案していました。
■「時間延長」交通機関など輸送手段確保や労働時間延長によるコスト増などが課題に
【博覧会協会 高科副事務総長】「閉場時間を変更することっていうのは、『慎重であるべきだ』というのが協会の現状認識ということになります」
高科副事務総長はこのように慎重な考えを示した上で、理由について次のように述べました。
【博覧会協会 高科副事務総長】「閉場時間を延長することによって、いろんな課題は起きてくると思っていて、いくつか申し上げると、1つは(大阪)メトロさんはじめとする公共交通機関、輸送手段の確保をどうしたらいいかっていうのはあると思います。
それから働く方々、これは協会の職員もそうですし、あと会場の各パビリオンとか施設、医療施設とかで働いている方々もそうですし、あるいは警備員とかアテンダントさんとか、そういった方々の労務管理の問題、今より長い時間働いてもらわなきゃいけないことになる。
これについて、そういった方々がちゃんと確保できるのか、あるいはそういった方々に長時間の働きをお願いすることになりはしないかというような問題とか。
家に帰るための輸送手段が確保できるのかどうかとか。あるいはそういった方々が働く時間が増えることによるその労務費とか、そういう費用・コストが増加するっていうことも考えないといけないのかなということ」
■「課題を越えてメリットがコストに見合うものなのか」
【博覧会協会 高科副事務総長】「それから物流関係でも、例えば海外のパビリオンなんかですと、(午後)10時に閉場したら、そこから一気に、いろいろなものの搬入とかをやって、次の日の準備をして、それを終わらせて、終電までに帰るというようなオペレーションをされている中で、そこのオペレーションというのが、仮に(時間を)延ばした場合にはどうするのか。物流・搬入時間をどうしていくかというような問題とかですね。
(課題は)さまざまあるのかなと。課題を越えなければならないし、それをやることによって、メリットがコストに見合うものなのかどうなのかっていうことを精査しなくちゃいけないっていうことで、そう意味ではいろんな課題があるので、そういったことを認識した上で、『慎重であるべきだ』っていうふうに申し上げていると」
■「開場時間延長」BIE=博覧会国際事務局のケルケンツェス事務局長が提案
万博会場の「開場時間の延長」は17日、大阪府の吉村知事らと面会をしたBIE=博覧会国際事務局のケルケンツェス事務局長が提案していました。
この提案に、大阪市の横山市長(博覧会協会副会長)は次のような意見を述べていました。
【横山市長(19日)】「ゴールは夜の万博を楽しめる環境を作ることなので、夜だけ行こうかと思ってもらえる方も増えるかもしれませんし、そういうところを獲得目標にして担当者と協議はしていきたい」