身近な「冷凍チャーハン」を食べる実験で、おいしい食事が脳を覚醒させてやる気を引き出す可能性があることを九州大学の研究グループが明らかにしました。
おいしい食事は満足感や幸福感をもたらす一方、その心理的な快感が脳の働きや認知行動にどのような影響を与えるのかはこれまで十分に解明されていませんでした。
そこで九州大学基幹教育院の岡本剛准教授と大学院システム生命科学府の李虹佳さん、ニチレイフーズなどの研究グループは身近な冷凍チャーハンを用いて実験し、おいしい食事が食後の認知処理や作業効率に与える影響を脳波の分析などで調べました。
実験では、2つのグループに冷凍チャーハンを食べてもらい、食後に脳の混乱を引き起こすテストを行って脳波を測定しました。
その結果、「おいしいチャーハン」を食べたグループは「普通のチャーハン」を食べたグループよりも前頭部のアルファ波が全体的に低下し、脳が覚醒し集中している状態がみられました。
また左右の前頭部を分析すると、やる気や前向きな行動が高まっているときに現れる状態がみられ、おいしい食事がやる気を引き出す可能性が示されたということです。
また同じ人に「おいしいチャーハン」と「ややおいしいチャーハン」を別の日に食べてもらい主観的な評価と脳波の関係を探る実験では、おいしさの得点が高いほど、より集中・覚醒した状態になる傾向が確認されたということです。
今後は認知症予防や学習・作業効率向上などさまざまな分野への応用が期待され、研究グループは「今後の昼食の取り方などにも活用できる基礎的な研究成果の1つだと考えています」とコメントしています。