ここ数年あらゆるものが値上がりし、物価高が続いています。
そんな中、あり得ない値段で営業を続ける飲食店が大阪に!
店主の時給は330円?発売以来、お値段据え置きの“ど根性グルメ”を調査しました。
■食品やUSJパスまであらゆるものが値上がり
ありとあらゆるものが値上がり!来月には明治のチョコレートが31品目、サトウ食品ではパックごはんの全商品が値上げとなるなど、食品だけで1825品目の値上げが予定されているんです。
食品以外にもUSJでは、1デイスタジオパスの最高価格を1000円値上げして、1万1900円に!開園当初と比べて、なんと倍以上の価格になってしまうというおっカネ〜事態に!
しかし、安いもの好きが多い大阪には、発売当初から値上げを一切行わず、“ど根性”だけで低価格を守り続ける「ど根性グルメ」があるのをご存知でしょうか?
■やきとり1本50円!43年間値上げなし
【秦アナウンサー】「難波の中心地・道頓堀にやってきました。いかにも物価が高そうなところで、創業以来値段を変えずに料理を提供しているお店があるということで、一体どんなお店なんでしょうか」
さっそく向かってみると…
【秦アナウンサー】「ありました!看板ご覧ください!やきとり1本50円!ホントですかこれ!ちょっとまだ信じられてないんですが、中入って確認してきます」
【秦アナウンサー】「看板に1本50円って書いてたんですけど本当ですか?」
【店主 岡田啓二さん】「本当です。43年間値上げせんと頑張ってます」
道頓堀のメイン通りで43年店を構える焼き鳥屋さん「けー坊」。50円の焼き鳥ってどんなものなのでしょうか。
【店主 岡田啓二さん】「これが焼き鳥です、どうぞ。タレと塩がありまして今日はタレでやってます。今は税込で55円なんですよ」
【秦アナウンサー】「品質とか大丈夫なんですか?」
【店主 岡田啓二さん】「全然大丈夫!」
【秦アナウンサー】「どこの国のものですか?」
【店主 岡田啓二さん】「日本の鶏」
【秦アナウンサー】「国産ですか!?すごい!」
■ど根性グルメはじめたきっかけは友人の「トミーズ雅」さん
けー坊の焼き鳥は、鉄板に押しつけて焼き上げる昔は多かったという「くわ焼き」スタイル。そのお味は。
【秦アナウンサー】「ジューシー!香ばしいしタレが美味しいですね!ウマい!50円じゃないですよこれ!」
そしてもう1つの名物、とんぺい焼きも創業以来変わらない、1本110円のど根性プライス!
【秦アナウンサー】「安いってわかってるからパクパクいっちゃいますね。止められない!」
ただ、焼き鳥ととんぺい焼きは、1日100本ずつのみ仕込んでいるので、1人2本までなんだそう。
そして、このど根性グルメは、オープン当初にある人物の助言から始めたそうで…
【店主 岡田啓二さん】「友達でトミーズ雅っておって『お前のとこ目玉商品なかったらアカンやんけ!』って言うて」
なんと、ど根性グルメ誕生のキッカケは、トミーズ雅さんだったんです。
ただ、1本55円の焼き鳥、儲けはあるんでしょうか?
【店主 岡田啓二さん】「原価が昔ほんま5円10円やったんです。だんだん上がってきて今はもう半額ぐらいになってるんですよ、25円とかね」
【秦アナウンサー】「ということはつまり100本売ったら2500円ですか?それお店やってけるんですか?」
【店主 岡田啓二さん】「それを他の飲み物とか料理でカバーしている」
【秦アナウンサー】「それをちょっとぜひ値上げをしていただきたい!ど根性だ…」
■去年初めて200万円の赤字 客は「僕は喜んでお金出しますよ」
しかもお店があるのは道頓堀の一等地!最近、家賃が上がり続け、なんと4年前に比べて月20万円もUP!
そのためお店は、去年初めて200万円の赤字というおっカネ〜状況に!
常連さんにも話を聞いてみると…
【秦アナウンサー】「値上げしたらどうしますか?」
【常連客】「いや僕は喜んでお金出しますよ。値上げしてもそんな上げへんからね」
【常連客】「値上げしてもすぐ帰らないですわ。店長にようしてもうてね」
【店主 岡田啓二さん】「(前は)『年金生活で値上げしてほしない』って言うててんけど、(自分が)『赤字や赤字や』って言うとったら…」
【秦アナウンサー】「でもそういった声もあるから50円を守り続けてるってことだ」
■時給は「計算したら330円くらい」
ただ、赤字でも値上げをしない裏側には、ご主人の涙ぐましいど根性があったんです!
【店主 岡田啓二さん】「僕の給料を下げてるって感じで、50万ぐらい取ってた給料をもう10万とか今やってて。計算したら330円くらい。そやから一生懸命頑張って」
さらに、人件費節約のため、奥さんや息子さんにも手伝ってもらい、家族総出でお店を切り盛りしているんです!
【秦アナウンサー】「お父さんの時給を失礼ながら計算したら330円、ご存知でしたか?」
【息子 啓吾さん】「え、そうなんですか!知らなかったです。ちょっと安いですね、自分の時給の半分以下。お年玉とかいっぱいあげよっかなって…」
【秦アナウンサー】「お店を継ぐつもりとかあるんですか?」
【息子 啓吾さん】「いま考え中…大好きなお店なんで、世界一大好きなお店なんで。
【秦アナウンサー】「こうやって息子さんが働いてくれるのは嬉しいですか?」
【店主 岡田啓二さん】「ありがたいです」
■ど根性グルメは750円のうどん!?
【秦アナウンサー】「続いて堺筋本町にやってきました。こちらにもど根性グルメあるということなんですが、こちらです!三代目木村屋、うどん屋さんですね。早速行ってみましょう!
「三代目木村屋」は、堺筋本町のオフィス街にあるうどん屋さんで、お昼どきにはこの行列ができる人気店!
【秦アナウンサー】「こちらのど根性グルメはなんでしょうか?
【三代目店主 原秀男さん】「一応うどん屋さんなんで、うどんかな。木村屋うどんっていう750円」
【秦アナウンサー】「正直750円でうどんってそこまで安くないなって印象があるんですけど…」
【三代目店主 原秀男さん】「まあ一回食べてみてください」
■自家製麺が2.5人前、天ぷらが3種類も付いて税込750円!も人気なのは魚のメニュー
発売以来40年以上、750円で続けてきたうどんとは?
【秦アナウンサー】「ちょっと待って!これフードファイトじゃないですか!」
そう、この木村屋うどんは、特大サイズの器に細めの自家製麺が2.5人前も入った上に、天ぷらが3種類も付いて税込750円なんです!
【三代目店主 原秀男さん】「意外とコシあるでしょ?」
【秦アナウンサー】「やわらかめかなって最初思うんですけど噛むとすごいコシがあるから食べ応えもしっかりあります。めちゃくちゃ美味しいこれ!」
こんなにお得など根性グルメ、さぞかし人気かと思いきや…
【三代目店主 原秀男さん】「月に1回あるかないかぐらいなんですよね。実はうどんよりも魚のメニューの方が人気なんですよね」
そう、他のうどんも500円からと激安なのに、注文はほぼ魚の定食ばかり!
【客】「うどん中心のメニューは食べたことない!魚にいってますね気持ちは」「
【客】「しゃぶしゃぶとか海鮮売ってるイメージやったんで」
中にはうどん屋さんということを知らない人まで!
実は、コロナ禍をきっかけに魚を使った定食を始めるとこれが人気となり、注文の9割以上を占めるようになったんです!
例えばこの定食は、ブリのヅケやカルパッチョなど5種類も味わえて、なんと990円!
■定休日の土日に和歌山の串本町まで行き自ら魚釣り
そして、この低価格の裏にもご主人のど根性があったんです!
【秦アナウンサー】「お魚はどこから仕入れてるんですか?」
【三代目店主 原秀男さん】「市場から仕入れてるのもあるんですけど、自分で釣ってきた魚を出したい」
【秦アナウンサー】「ご主人が釣りやるんですか?今ここに出てるのもご主人が釣ったものですか?」
【三代目店主 原秀男さん】「これは日曜日まで泳いでた魚です」
ご主人はなんと、毎週定休日の土日に和歌山の串本町まで行き、知り合いの漁師さんにお金を払って自ら魚を釣っているんです!
■過酷な経営でも値上げせず「お客さん喜んでくれるから」
【三代目店主 原秀男さん】「ずっと下道を通って行ってます。夜中通って4時間半、帰りは5時間超えますね」
【秦アナウンサー】「それ1日じゃ往復できないですよね?」
【三代目店主 原秀男さん】「節約ですから車の中で寝てます。朝の3時とか港に行かないといけないですから」
【秦アナウンサー】「2日で合計どのぐらいお金使うんですか?」
【三代目店主 原秀男さん】「2日釣りして27000円~28000円。仕入れ値が28000円かかるってことなんですよ」
【秦アナウンサー】「何匹釣ったら28000円をペイできるんですか?」
【三代目店主 原秀男さん】「ブリだと1日1本、2日で2本だったらギリギリペイできるかな。タイ1匹釣れたらエサのオキアミ代が浮いたな、2匹目釣れたらよしこれでご飯代浮いたってそんな感じで釣りしてますね」
【秦アナウンサー】「ご主人、過酷な経営をされているけどどう思いますか?」
【店を手伝う二代目母 節子さん】「ツラいですね親としては。こんなしんどい思いして。でもお客さん喜ぶからついこの子も頑張るんですよ」
【秦アナウンサー】「ちょっとでも値段上げようとか思わないんですか?」
【三代目店主 原秀男さん】「これはお客さん喜んでくれるから上げないですね。
やれるとこまでです」
(関西テレビ「newsランナー」2025年5月16日放送)