岩手県北上市に住む2人の高齢女性からキャッシュカードをだまし取った疑いで、住所不定の20歳の男が2025年4月に逮捕されていたことがわかりました。
逮捕の決め手は、岩手県警が金融機関と締結していた「協定」でした。
詐欺の疑いで4月2日に逮捕されたのは、住所不定・無職の堀内尋夢(ほりうちひろむ)容疑者20歳です。
岩手県警によりますと、堀内容疑者は4月2日、岩手県北上市の70代女性から、数枚のキャッシュカードをだまし取った疑いが持たれています。
犯行の手口は次の通りです。
被害者の女性は事件当日の午前10時ごろ、自宅に北上市の職員をかたる男から電話があり「保険の還付金があるので、キャッシュカードの磁気情報を調べる必要がある」と言われたということです。
そして、電話から約2時間以内に、金融機関の職員を装った堀内容疑者が女性の自宅を訪問し、数枚のキャッシュカードをだまし取り、去っていったということです。
しかし、これを不審に思った女性が、直後に警察へ相談をしたことで事件が発覚しました。
だまし取られたキャッシュカードのうち1枚は岩手銀行のものだと判明したことから、警察は2024年12月に岩手銀行と締結した「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与防止ならびに特殊詐欺等の被害防止にかかる協定」に基づき、カードの不正利用の履歴がないかを岩手銀行に照会。
その後、堀内容疑者がキャッシュカードを使用した履歴が銀行側から警察に提供され、これをもとに追跡捜査がなされた結果、犯行当日の午後11時半過ぎ、東京にいた堀内容疑者を警察が逮捕するに至ったということです。
この協定により犯人が逮捕されたのは初めてで、警察は「銀行側の協力が早期の逮捕につながった」と分析しています。
また、この事件を警察が捜査する課程で、堀内容疑者が犯行当日に岩手県北上市に住む別の70代女性から、キャッシュカードを盗んだ容疑が固まり、堀内容疑者は4月23日に窃盗の疑いで再逮捕されています。
堀内容疑者はそれぞれの容疑を認めているということです。
一方で、被害者に電話をかけた男や、指示役などの詳細を堀内容疑者が把握していないことから、警察は「トクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)」による犯行とみて、被害金額の確認を含め事件の全容解明を急いでいます。
盛岡地方検察庁花巻支部は5月14日付けで、堀内容疑者を詐欺と窃盗の罪で盛岡地方裁判所花巻支部に起訴しています。