裁判のやり直しを求めていた最中の死刑執行は違法として、弁護士らが国に賠償を求めた裁判で、大阪地裁は、弁護士らの訴えを棄却しました。

岡本啓三死刑囚(当時60)は、強盗殺人などの罪で2004年に死刑が確定し、4回目の再審請求中だった7年前に、死刑が執行されました。

岡本死刑囚の元弁護人3人は、「裁判所の判断を待たずに行政が死刑を執行するのは三権分立に反し、再審請求中の弁護権を侵害された」として、国に合わせて約1600万円の損害賠償を求めていました。

一方、国は「再審請求に死刑の執行を止める効力はない」として、訴えの棄却を求めていました。

5月14日の判決で、大阪地裁(大森直哉裁判長)は、「再審請求中の死刑確定者に対して、一律に死刑を執行してはならないという職務上の義務はなく、国賠法上、違法とは認められない」として訴えを退けました。

大森裁判長は、最後に「判決は、事実関係を前提に原告の主張を踏まえて検討しても違法ではないと判断した」と付け加えた上で、「死刑が人の生命を奪う究極の刑罰である以上、再審請求中の死刑確定者に対する死刑執行については、慎重な検討が必要で、この判決によって、再審請求中の死刑確定者に対する死刑執行が、違法と評価される場合があり得ることまで否定されるわけではない」と述べました。

法務省は「国賠訴訟が係属中であり、コメントは差し控える」としています。

(関西テレビ 2025年5月14日)

関西テレビ
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