自民党の小野寺政調会長は14日、埼玉県内にある政府備蓄米の倉庫を視察した。終了後、記者団の取材に応じ、政府備蓄米を放出した場合に原則1年以内に買い戻す条項について「今回は政府の方針として今、撤廃していただけるということであるので、今大切なのは少しでも早くお米を消費者の皆さんに届けることだと思う」と述べた。その上で、輸送や精米の能力の問題解決を進めコメ不足解消と価格抑制につなげる期待を示した。
小野寺氏がコメの買い戻し制度について「撤廃」と発言したことについて、自民党はその後、「1年以内の買い戻しにこだわらないと言う意味で「撤廃」という文言を使ったもので、これまでの農水大臣の発言と齟齬があるものではない」と説明している。
小野寺氏は埼玉県内の倉庫を訪れ、高く詰まれた備蓄米を見ながら、備蓄米の放出状況について関係者から報告を受けた。
視察後、小野寺氏は記者団の取材に応じ「問題は輸送がなかなか思うように進んでいないということが今まであったと聞いているが、今日伺った限りは連休中も連休後も土日返上で対応していただいている輸送業者の方もいらっしゃるということだ。特に連休後は1日あたりの出庫量が2倍になっているということで、かなり加速しているなという印象を持った」と述べた。
その上で「少しでも早くこの米不足が解消できるように今日は改めてお願いしたし、この動きが進んでいけば米の不足感がかなり緩和されると思う」と述べた。
また、「白米に精米する作業の能力が限られているので、現在は卸の皆さんしかお願いをしていないが、玄米でいろんなところに流通するようになれば、その場でそれぞれ精米して販売するということになるので、精米のスピードも相当早くなるなと思っている」と語った。
さらに「今後の課題ということですが実は備蓄米を仕入れるときの価格というのは1万1000円~1万2000円ぐらいで政府は備蓄米を買い上げている。今回その落札が実は2万2千円以上だ」と指摘し、「国が儲けてどうするんだ。しっかり一定の価格で備蓄米が出せるようなことも考えていかないといけない。いざという時の備蓄米という、本来、皆さんに安く手に取っていただきたいと思う米が、そのような状況になっていないということも一つの課題かなと思っている」と述べた。
その上で記者団から、備蓄米を放出した場合に原則1年以内に買い戻す規定の緩和について問われ、「もともと備蓄米だから、本当に大きな飢饉があった場合にはしっかりまた確保するということが必要だ。今回は大きな食糧不足、飢饉という状況ではない。少し品薄感があるので、備蓄米で対応しようということなので、備蓄米の重要性はまだ変わっていないと思う」と指摘。
そして「ただそれを必ず買い戻すということになれば、やはり流通させる方も一定の制約が出てしまうので、今回はその買い戻し条項は、政府の方針として今、撤廃していただけるということであるので、今大切なのは少しでも早くお米を消費者の皆さんに届けることだと思う」と語った。