ポカポカ陽気で上機嫌の北海道民を、ふと憂鬱な気分にさせる、値上げ…。
「『4月1日から値上がりします』ってあっちゃこっちゃで見る」
「お米ばかりじゃなくてすべてが高い。ワンコの物もほとんど値上がりしていて。ごはんとかおやつとか。トリミングも1000円くらい上がった」
「アンパンマンのお菓子全部。グミもラムネも」(いずれも道民)
米や野菜ばかりじゃない!
「いつも飲んでる発泡酒が高くなっている。高すぎる、飲めないわ。水飲むしかない」
「私たちはもうコンビニでぜいたくだよね」(いずれも道民)
道民がリアルに感じた “値上げ” を調査しました。
まず出会ったのは、この春、子どもが習い事を始めたというママ。
「ピアノですね。結構前から子どもにこういう習い事をさせたいと調べていた。だいたいこのくらいの値段なんだと思っていて、いざ子どもが今年から習うぞとなって見たら、あれ、ちょっと1000円から2000円くらい上がってるなって思いました」(30代 5歳のママ)
ある調査によると、値上がりがあった習い事で突出して多いのは「学習塾」 と 「水泳」。
教材費やスタッフの人件費、施設費などあらゆる点で物価高騰の影響を受けていることが理由として考えられるそうですが…。
個人経営のピアノ教室まで、月謝が値上がりしている要因は…?
取材に協力してくれたのは、もう3年以上、月謝を上げていないというピアノ教室。
それでも値上げは、何度も頭をよぎるそうで…
「これ見てもらうとわかる。ここでもうすでに上がっているんです」(ピアノ講師 KANAさん)
同じ内容の楽譜が、1年間で100円の値上がり。
別の楽譜も、約40年前の物と比較すると…。
「全く同じものが、650円から1300円。ほんと倍ですね。生徒さんの楽譜は生徒さんが買うが、新しい楽譜が出たら研究するためにどんどん買わないといけない。こういうちょっとした物の値上がりもどんどん響いていく」(KANAさん)
月謝に教材費は含まれていないので、月謝には反映できない楽譜の値上げ。
それでも、指導者としての技術を維持するには必要な経費です。
「習う側の生徒さんも(楽譜を)自分のために買わないといけない。そこでの値上がりは起きているので、月謝も上がって自分で買う楽譜も上がるのは心苦しい」(KANAさん)
他にもピアノの調律料も、少しずつ値上がりしているとのことですが…。
一番の負担は、やはり光熱費。
「施設費を取る予定で規約を作って取っていない、先延ばしに…。だって教室で暖房費が上がってるって事はご家庭も上がっている。二重に値上がったら大変だなと思って、様子を見て…」(KANAさん)
「(Q:高くなったと気づいたものは)杖の工賃がすごくかかった。今まで3000円くらいだったのが、6000円とか7000円」(70代の母親がいる50代女性)
母親の杖の修理費が値上がりしたという女性。理由は聞かなかったそうですが…。
販売元に取材をしたところ、特に負担が増えたのが、送料。
修理できる会社が北海道外の為、往復の送料が値上がりした分を、修理費に反映せざるを得えないとのことでした。
「(Q:やめたものは)外食やめましたね。全くしていない。だってもう1000円とかランチ食べられない。お弁当も買わない。疲れたからお弁当買おうって軽々買えない」(女性)
続いてインタビューした男性が感じたのは、お墓の管理費の値上げ。
「お墓の分はお寺に納めるんですよね、僕の場合は。それが今まで(年間)15000円だったのが、18000円くらいに上がっていたり」
「(Q:どうして高くなるか理由は聞いた?)いえ聞かないです」
「(Q:なんで高くなってるんですかね)どうしてかわかんないですね」(いずれも男性)
この春多発している、お墓の管理費の値上げ。
その背景について、様々なタイプのお墓を運営する会社に話を聞くと…。
「霊園管理事務所の職員の人件費や、これからお客様を呼ぶ販促費用など、そういった部分の高騰。あとは霊園を維持していく為の備品・消耗品、あとは修繕費自体も全体的に上昇している」(墓地・霊園の販売代行ニチリョク 吉谷大樹神奈川営業部長)
中でも負担が増えているのが、ガーデンタイプの霊園。
草木を維持していく為のコストが年々上がっていると言います。
お墓の管理費の値上げによって、“墓じまい”を検討する人も増えていました。
「実際に管理費を上げるタイミングでよくお声を頂くのが、お墓以外のところでも上がっていてお墓の管理費も上がっちゃうのねと。残された家族に負担をかけて良いのかと悩まれている声は多い。年々そういった問い合わせや相談は増えている印象」(吉谷部長)
今は年金暮らしだという男性は…。
「一番はスキー場。スキーよくやるから、リフト券がべらぼうに上がっちゃって。シーズン券を買ってるんだけど、去年45000円だったのが、今年59000円に」
「(Q:めちゃくちゃ上がってませんか?)めちゃくちゃ上がってる。びっくり。リフトの一日券もかなり上がってるし、他のスキー場は高くて行けない」
「(Q:シーズン券買ったのはどこのスキー場?)札幌国際スキー場。比較的安い」(いずれも男性)
長年の趣味のクロスカントリースキー。体が動く限りは続けたいと思う反面、これ以上の値上げは厳しいと嘆きます。
「(Q:値上げの理由って?)想像するしかないんだけど、全体的に値上がっている。スキーの場合は、海外から来た人が日本のスキー場は安いっていうので、そっちに合わせてる(のではないか)」(男性)
札幌国際スキー場に取材をすると、男性が購入したと思われるシーズン券は昨シーズンから1万円の値上がり。
また、リフトの一日利用券は800円値上がりしていました。その理由は…?
「安全確保のための整備。維持管理費用が上がっているのは間違いない」(札幌国際スキー場 若山昌章さん)
例えば、ゲレンデの整備を行う、いわゆる「圧雪車」。前回購入した時に比べて、1.5倍ほど値上がりしたと言います。
「1台買うと10年使う。10年使ったら更新する。5台あるのでだいたい2年に1回くらい
(新車を買う)。台数減らすことによってどうなるかというと、ゲレンデの整備時間が間に合わなくなる」
「(Q:必ずかかるお金が今シーズン爆上がりした?)そうですね」(いずれも若山さん)
さらに、動かす為の燃料はもちろん、圧雪車の足の部分の金属の値上がりもかなり負担になっているそう。
「今年壊れたものがここにあります。これ全部壊れた物」(若山さん)
圧雪車ひとつとっても、これだけの負担増。さらにリフトの部品など、上げればきりがないと言います。
「お客さまの命を預かっている商売というか、サービス提供なので。きちんとした物を買って整備して維持管理するのが鉄則」(いずれも若山さん)
サービスの質や安全性を維持する為に、やむを得ない値上げ。
一方で、切実なのは学生たち…
「通学に使う定期代が気づかないうちに高くなってる。たぶん1000円くらい上がった」
「(Q:何か月分買った?)1か月分ですね」
「(Q:1か月分で1000円って結構大きいですね)そうですね」(いずれも19歳 大学生)
自由に使えるお金が限られている中で、削るのは…。
「学食に使うお金をなくして家で余ったものを使って(弁当を作る)」
「(Q:学食は結構高いですか?)学食は安いです。安いけどどんどん使っていくとあっという間に1000円とかいくんで」(いずれも19歳 大学生)
続いて、他の学生にも聞いてみると。
「(Q:高くなってると感じたものは?)お昼ごはん高くなったなって。ランチが安かったんですけど、50円値上がりしちゃって」
「(Q:いくらからいくらに?)680円から730円になりました。2週間前から」
「(Q:節約は考える?)お弁当は作るようにしようと」(いずれも21歳 専門学生)
学生からは、こんなリアルな声も。
「私たちはコンビニでぜいたくだよね。コンビニでからあげ買うのがぜいたくだって話を毎日しています」(専門学校1年生)
日常のあらゆる場面で感じる“値上げの波”…いったい、いつまで続いていくのでしょうか。