特集は春の味覚・山菜です。雪が多かった影響で出だしは多少遅れましたが、最近の暖かさで急成長。本格的なシーズンが始まりました。名人に同行し、山菜採りに挑戦。そして、この時期だけの特別な料理も紹介します。
■春の味覚、山菜のシーズン到来!
サクサクの天ぷらに、香り広がる鍋。春の味覚、山菜のシーズンがやってきました。
長野市の「道の駅信州新町」には4月22日、開店前から地域で採れた山菜が続々と持ち込まれました。
タラの芽、コシアブラ、コゴミ。
コゴミを出荷:
「今年はいいんじゃないか、大きさはいいね」
待ちわびた客が次々と買い求めていきます。
タラノメやコゴミを購入:
「待ちに待った、本当に今しかない。天ぷらとか和え物がメインですね。香りもいいし」
■山菜採り“名人”に同行
旬の山菜を求めて山へ。
郷土料理が人気の長野市の飲食店を営む赤池健さんに同行させてもらいました。
赤池さんはこの道40年以上の「名人」。店で提供する山菜はほとんど自分で採っています。
山菜採り“名人”赤池健さん:
「最高ですね。健康のためにも、山を歩きながら食べられるものを探せるなんて一石何鳥にもなる」
■クレソンと同じようなタネツケバナ
長野市郊外の里山で、まず見つけたのは―。
赤池さん:
「これ、タネツケバナっていうんですけど、クレソンってご存じですか?その系統で同じような味わいの、サラダに使うような山菜です。食べると香りがして、ほのかな苦みと、新鮮な(味で)おいしいですね」
■「大人の味」ウワミズザクラ
珍しい山菜も。
赤池さん:
「これはウワミズザクラっていうんですけど、若いつぼみや花が咲いて実がなるんですけど、新潟で有名でアンニンゴっていって、アンズの種の香りがする珍味」
葉や花も食べることができ塩漬けにすると“酒の肴”になるそうです。
赤池さん:
「けっこう苦みがきついですよ、だから大人の味ですよ」
こちらはこの時期の山菜の代表格「カンゾウ」です。
赤池さん:
「癖がなくておいしい山菜なので、どういう料理法でも合う、万能の野草ですね」
■”山菜の王様”タラノメ
さて、この時期に注意しなければいけないのがクマ。冬眠から覚めて活発に動き回ります。県は山に入る際はクマ鈴など音の鳴るものを携帯し、複数人で行動するよう呼びかけています。
しばらく山を歩くと―。
赤池さん:
「これわかりますか?」
記者:
「タラノメですか?」
赤池さん:
「はい、本当に皆さんお好きですよね」
”山菜の王様”タラノメも!
赤池さん:
「今年は春が遅かったというか、出方は例年より遅かった。でもここにきて例年並みになったのかな」
■酸っぱい「スイバ」
こちらの山も5日から1週間ほど遅れていましたが、このところの暖かさで一気に生育が進みたくさんの山菜が顔を出していました。
赤池さん:
「ありましたね、これが本当に平凡な草ですけど味は平凡ではないという」
見つけたのは「スイバ」。食べてみるとその名の通りの味です。
(記者リポート)
「酸っぱい、すごく酸っぱいですね。レモンを食べたときのように唾液がぶわっと出るような酸っぱさがあります」
酢の物や天ぷらで食べるのが定番ですが、赤池さんの店では少し変わり種で提供しているそうです。
赤池さん:
「うちの店では、これをジャムにする。酸っぱいおいしいジャムができるんですよ」
■2時間で10種類以上が見つかる
他にもつぼみと葉っぱ両方、食べられる「ニワトコ」やキュウリのような香りでおひたしにすると絶品という「イワガラミ」など2時間ほどで10種類以上の山菜が見つかりました。
赤池さんが待ちわびた「春」。この時期の山は”食材の宝庫”です。
赤池さん:
「最高のシーズンになっていますね。実は通り過ぎて紹介しなかった山菜もまだいろいろあるんですけど、きりがないので(笑)。(名人にとって山菜とは?)ここまでくると人生の一部になってきましたね」
■採れたての山菜で「草鍋」
採れたての山菜を赤池さんの店で調理してもらいました。
カンゾウやウドなど7種類の山菜がぜいたくに使われた「草鍋」。
草鍋コース5000円~
カンゾウをいただく―。
(記者リポート)
「ほんのり甘みがあって、優しい青っぽい味、癖が少なくて食べやすいです」
■塩漬けやジャムにも
こちらはコース料理の前菜で出す「山菜9点盛り」。珍味というウワミズザクラの塩漬け、タネツケバナのサラダ、コゴミの梅肉和えなどが一口サイズで盛り合わせてあります。
ウワミズザクラの塩漬けをいただく―。
(記者リポート)
「かなり苦みが強いが、それに負けないくらい香りがぶわっと広がって、酒に合う一品」
合鴨ロースト スイバのジャム添えをいただく―。
(記者リポート)
「ジャムにすることで甘みがあって、柑橘系のジャムのような味でカモと合っていてとてもおいしいです」
■山菜の個性を生かして楽しんで
春の訪れを告げる山の恵み。
これからはタケノコなども採れはじめまだまだ楽しめるということです。
赤池さん:
「山菜の種類って数えきれないくらいありますので、それぞれ個性がある。それを生かして楽しむというのが最大の醍醐味。(山菜の)豊かさを味わっていただければ一番幸せです」