島根スサノオマジックは5月9日からチャンピオンシップ、頂点を目指す戦いが始まります。その戦いぶりを伝える地元紙に、ファンの間で話題になっている企画があります。
山陰中央新報の電子版「Sデジ」のオリジナルコンテンツで、“記者”と”AI”が試合の勝敗を予想します。一体どのように予想しているのか…。
その裏側を取材すると、見えてきたのはAIと新聞記者の意地のぶつかり合いでした。
新聞記者:
AIに負けてなるものか。負けるつもりは一切ない。担当記者として、ポッと出のAIには負けたくない。
AI予測担当者:
人には負けない、AIのほうが信頼できる。人では到底見つけられないような法則も、AIなら見つけ出せる。
まさに人間とAIの「知恵比べ」です。
山陰中央新報の電子版「Sデジ」のある記事上で繰り広げられています。
3月から配信が始まったオリジナルコンテンツ「Bリーグ・AIと記者の勝敗予測」。
ビッグデータを活用した人工知能”AI”と、情報を足で稼いだ新聞記者が、それぞれ島根スサノオマジックの試合結果を予想し合います。
新聞記者:
機械には負けないように意識してやっています。
AI予測担当者:
人には負けない予測をしてくれるのではないか。
互いに負けるわけがないと火花を散らす予想合戦。まずはAI側の予想の現場をのぞいてみました。
AI予想で協力しているのは、松江市のIT企業「テクノプロジェクト」のエンジニア、田中啓太さん。マイクロソフトが公開しているソフトウェアを使って、AIによる予想プログラムを構築。過去8シーズンのB1、B2全チームの試合結果を読み込み、AIに学習させました。
テクノプロジェクト・田中啓太さん:
こういう得点の推移が続いた次は大体80点くらいだろうというのを、過去のデータを勉強しながら法則みたいなものを見つけます。それに沿って未来の試合の結果をAIが予測するというものです。
こうして蓄積されたデータをもとに独自のプログラムで分析、勝敗予想を導き出します。AIに学習させればさせるほど、予想の精度が上がっていくと言います。
この日はシーズン最終節となる広島戦の前ということで、その勝者を予想してもらいました。
テクノプロジェクト・田中啓太さん:
予測したい試合をエクセルで用意します。事前に用意したプログラミングがありますので、これに対してエクセルを入力します。
すると、30分ほどで…。
テクノプロジェクト・田中啓太さん:
今終わりました。結果はエクセルに出すようにしていて。これが結果です。残念ながら負け、負け(2連敗)です。
実際の結果は、ゲーム1は島根の勝ち、ゲーム2は島根の負け、2試合のうち1試合を的中させました。
一方の新聞記者。
島根スサノオマジック取材歴2年の清山遼太記者が予想しています。
山陰中央新報社 島根スサノオマジック担当・清山遼太記者:
(今シーズンは)60試合のうち、8割9割は現地で取材した。なるべくアウェイも現地に行って、その場の空気感や選手のコメントを取るようにしている。
取材の時、独自のスコアブックをつけて試合を分析。AIに対し、圧倒的な自信を持っています。
山陰中央新報社 島根スサノオマジック担当・清山遼太記者:
人間の目でスコアをつけていかないと分からない部分があるので、公式のスタッツには現れないところを記録していけるのが、僕ら記者の強みかなと思う。
自らの足で情報を稼ぎ、目と肌感覚を加味して導き出した広島戦の予想は…。
山陰中央新報社 島根スサノオマジック担当・清山遼太記者:
1戦目を広島の勝ち、2戦目を島根の勝ちとさせていただきました。
しかし結果は、完全に裏目…2試合とも外し、AIに軍配が上がりました。
それでも予想を始めた3月22日以降の的中率は、AIの44%に対し、清山遼太記者は61%。トータルでは記者が上回っています。
こうしてしのぎを削るうち、両者の間に芽生えたものが…。
山陰中央新報社 島根スサノオマジック担当・清山遼太記者:
島根と琉球のような関係ですよね。相手にリスペクトを持ちつつ、勝つべきところは勝つというところは大事にしたい。
テクノプロジェクト・田中啓太さん:
人の良さとAIの良さを組み合わせて、より盛り上がる予想ができると楽しみだなと。
図らずも友情が生まれた予想合戦。
スサノオマジックが9日から戦うチャンピオンシップでは、果たしてどちらに軍配が上がるでしょうか。
島根は9日からチャンピオンシップの準々決勝であたる「琉球ゴールデンキングス」と対戦します。
こちらは試合の予測です。
清山遼太記者は、1戦目と3戦目を島根が取り、準決勝進出と予想しています。
一方、AIは2連敗と予想しています。
あくまで「机上の空論」とし、AIの予想を覆すような活躍に期待しましょう。