■北海道日本ハムファイターズ 新たな「ファーム本拠地」は?

 4月を終えてリーグ2位と好スタートを切った北海道日本ハムファイターズ。新庄剛志監督のもと、3年目のシーズンに優勝への期待も高まるなか、水面下で注目されているのがファーム(2軍)本拠地の北海道移転報道です。

 現在のファームは千葉県鎌ケ谷市に拠点が置かれていますが去年、北海道への移転を検討しているという一部報道が飛び出しました。

 報道を受け、エスコンフィールドHOKKAIDOのある北広島市に隣接する、江別市や恵庭市などが誘致へ向けた動きを見せています。


 そんな中、プロ野球球団の運営に詳しい、元福岡ソフトバンクホークス取締役で、現在は桜美林大学教授の小林至氏に移転先の選定について話を聞きました。

 「本拠地の近くにファームを置くのは、今やメジャーでも当たり前の流れです」

 こう率直な感想を述べた小林氏。「選手の入れ替えもしやすいし、ファームの選手を目で確かめることができますから」と、そのメリットを強調しました。

 さらに、売り上げの面でも「ファームを地域密着型で運営すれば、5億円以上の売り上げになる可能性もある」と指摘。

 一例としてサッカーを挙げて「J1チームの平均スポンサー収入は20億円以上、J2でも10億円以上ある。野球の場合は年間で70試合くらいできますから、球団や受け入れ自治体にとってもメリットが大きい」と分析します。(※2023年度 公益社団法人日本プロサッカーリーグクラブ 経営情報開示資料より)


■お勧めの移転先は帯広市!?「ファン層を広げるためには遠い方がいい」

 本拠地のある北広島市に隣接する江別市や恵庭市、遠くは旭川市(札幌市から列車で約1時間30分)も注目しているファーム移転の報道。

 そんな中で小林氏が推薦する移転先は、なんと十勝地方にある帯広市です。

 帯広市は北海道の中心部に位置する人口約16万人の都市で、札幌からは列車で約2時間30分ほどかかる距離にあります。

 「ファン層を広げるためにはあまり近付けないほうがいい。MLBでも、本拠地スタジアムの半径50キロ以内には、マイナーチームのスタジアムは置けない。ある程度、距離があったほうが良い。帯広には空港もあるし、エスコンフィールドができる前は、毎年試合もやっていました。町おこしの一環で手をあげるのも良いでしょう」と推薦の理由を述べました。

 北海道ならではの懸念材料として「冬の寒さと雪」がありますが、小林氏は楽観視しています。

 「今は打撃も投球も数値データで表せるので、昔のように『外に出ないと感触が分からない』というわけではない。屋内施設さえ整っていれば、寒い時期の練習も問題ない。室内が充実していれば大丈夫じゃないですか」と語りました。


■遠征費の増加はどうする?「各球団間で分担することに」

 帯広移転に立ちはだかるもうひとつの壁が”遠征コスト”です。飛行機の利用が前提となるため、ビジターチームの負担増は避けられそうにありません。

 しかし、これについても小林氏は「遠征費はイースタン・リーグの8球団で負担を分け合うシステムがあるので、大きな負担にはならない」との見方を示しました。

 「プロ野球の実行委員会での承認が必要だと思われますが、新しい球場はプロ野球にとっても話題になるので、多少のコスト増は認められるのではないでしょうか」

 一方で小林氏は、千葉ロッテマリーンズのファーム本拠地(埼玉県・さいたま市)の移転先候補地が千葉県・君津市に決定したことに触れ、「ある意味、北海道より遠い。アクアラインが混むので、選手目線ではむしろ帯広より大変かと思います。行政としては外からお客さんが来てもらうということではなく、市の娯楽として考えたのでしょう」と分析しました。

 斬新な小林氏の提言。ファイターズと道内自治体にとって、次なる一手のヒントになるかもしれません。

北海道文化放送
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