新学期が始まった時期に多くの保護者が頭を悩ませる、いわゆる「小1の壁」。一般的に仕事と子育ての両立が、小学校に通い始めた途端に難しくなることをいいます。この中でも「朝の小1の壁」と言われる問題について、仙台市は6月から、始業時間までの間、子供たちの居場所を提供するモデル事業を始めます。
まだ人通りが少ない午前7時。青葉区の上杉山通小学校です。クラブの朝練があるという子供たちが登校してきました。朝の練習にあわせて校舎の中に入れるようになっています。一方で…。
記者リポート
「午前7時40分を過ぎました。登校してくる児童たちがいます。この小学校ではこのように校門は開いているので、門の中には入れますが、昇降口が開いていないめ、外で待たなければいけません」
昇降口が開くのは午前8時。職員たちの勤務時間が8時半からとなっているため、子供たちの安全管理上、その時間にしているそうです。登校時間は8時から8時20分となっていますが、子供たちは続々とやってきます。
小学生(Q何時ぐらいに登校している?)
「7時35分ごろ。弟と一緒に行ったり、お母さんたちが早く仕事に行くから」
「(昇降口が開くまで)友達とじゃんけんして過ごしている。(本当は)校庭でドッジボールとかしたい」
待ち時間は校庭で遊ぶことはできず、限られた場所で昇降口が開く8時になるのを待ちます。中には1年生の姿もありました。
1年生の保護者
「仕事のタイミングと合わせて来ているので、早い時間になっている。他に友達がいなければ心配だが、友達がたくさんいるから心配していない。これから暑くなるのでそういう時期に過ごせる場所があるといい」
小学校に入学するタイミングで、幼稚園や保育園などと比べ、子供を預けられる時間が減少します。具体的には、保育園などでは一般的に、午前7時から子供を預かってくれます。しかし、小学校では登校時間が遅くなります。放課後の「学童利用」も同じです。一時的ではありますが、子供の居場所が無くなる「空白の時間」が生まれてしまいます。これがいわゆる「小1の壁」です。共働き世帯の増加もあり、出勤時間に頭を悩ませる家庭も少なくありませんが、学校には学校の事情がありました。
昇降口が開く午前8時前には100人近い子供であふれていた、こちらの小学校では…。
上杉山通小学校 太田健二教頭
「開門を早めればいいのかもしれないが、学校職員の長時間労働や働き方改革が社会的課題になっている中で、これ以上、サービス残業を増やすことを強いるわけにいかない。対応に苦慮している」
こうした中、全国に先駆けて朝の小1の壁の対策を進めているのが大阪府豊中市です。去年4月から、市内の39の公立小学校で、登校時間よりも1時間早い午前7時に校門を開け、子供たちを体育館などで預かる取り組みを始めました。スタッフは民間委託で、今年度から学校がある日だけではなく、夏休みなどの長期休みでも実施するということです。
同様の取り組みについて、仙台市でも今年度、動きがありました。
仙台市こども若者局 こども政策推進担当課長 長谷部綾子さん
「保護者も子供も楽しみながら生活できるのが大事なので、私たちもサポートしていきたい」
仙台市では、6月から市内にある小学校数校を対象に、地域の人たちと連携しながら、子供たちを預かるモデル事業を始めます。子供たちの朝の居場所をつくるとともに、自主性を大切にすることで朝の時間を有効活用したいとしています。
仙台市こども若者局 こども政策推進担当課長 長谷部綾子さん
「子供たちが安全に、自分がしたいことをしながら過ごせる居場所作り。育児と家庭の両立は非常に大事なことなので、支援していけるような事業としてやっていきたい」