止まらない米の価格高騰。現在のスーパーでの平均価格(5キロ)は年末から年始にかけては3571円だったのが、4月に入ると4217円に上がっていて、15週連続で最高値を更新し続けている。
関西テレビ「情報LIVEとれたてっ!」に出演した橋下徹氏は、「日本の農業政策はあらゆる政策にお上が介入しすぎ」、「減反政策は失敗と認めなきゃいけない」とこれまでの農業政策を猛批判した。

■外食産業やコンビに弁当に変化 日本人観光客が韓国でコメ購入も
高騰するコメ価格の影響は様々なところに出ている。
外食産業やコンビニエンスストアでは…
・松屋フーズ きのう22日から牛めしの並盛が430円から460円に30円アップ
・ローソン 唐揚げ弁当はご飯を控えめに。スパゲティやおかずを増量。
さらに、韓国からコメを買って帰ってくる観光客もいるそうだ。
今月上旬、韓国ソウルにて、白米4キログラムと玄米5キログラムをそれぞれおよそ1500円で購入した女性がXでこんな投稿をしていた。
Xの投稿内容:今回の韓国旅行のミッションは米を買って帰ること。日本では今、米がアホみたいに高いから、韓国へ来たついでに米を持ち帰ることにした。まさか海外で米を買って帰ることになろうとは。筋トレか。
韓国農協インターナショナルという韓国の貿易会社によると、今月8日以降、22トンの米を日本に輸出し、韓国から日本に一般消費者向けのコメが輸出されるのは、1990年の統計開始以来、初めてのことだそうだ。
また、農業政策に詳しいキャノングローバル戦略研究所の山下さんによると「最近は韓国米の品質が上がっている。アメリカの一部スーパーでは日本米に置き換わっているところもある」ということだ。

■「日本の農業政策、あらゆる政策にお上が介入しすぎ」
日本では、2018年に廃止されるまで、コメの作付面積を規制して生産量を消費量に合わせて調整する「減反政策」が続いていた。これによってコメの値崩れを防ぐ狙いがあった。
廃止後の現在も、コメの生産をやめてそれ以外の農産物を作る「転作」に補助金がでるなど、実質的に生産量の調整は続いているという指摘がある。
こうした現状になったことについて、橋下氏は「農業政策にお上が介入しすぎ」と批判した。
橋下徹氏:本当は価格というものは、政府が介入するんじゃなくて、作る方と買う方で、需要と供給量で価格が決まっていくのが大前提なのに、これまでの日本は無理やり価格を上げていたんですよね。
コメ価格だけじゃなく、日本の農業政策、あらゆる政策にお上が介入しすぎですよ。今、韓国のコメの質が上がっているって言いますが、競争に晒されて質を上げにいっているんです。だからアメリカの店頭に並ぶわけじゃないですか。
日本の農業政策は敗戦して焼け野原から復興してくる過程で、農家さんを守ろうというのはわかるんですよ。けれども、一定期間経てば、(国)外からの、競争力のあるコメも入れながら、日本の農家さんに切磋琢磨してもらって、日本の農業を産業化する必要があった。
それは株式会社化でもあり、将来どんどんいいコメを多く作っていって(収入が上がるという)、夢があるような農業政策にして、若い人たちが入るように。
今、日本がやっている政策は、『外から入ってくる強いコメや価格の安いコメはシャットアウトする』。それから『株式会社が農業に入っていくこと』も規制する(というもの)。
結局、個人の農家さんを守って、どんどん高齢化して、(生産される)コメの量もどんどん減って、減反政策も、コメの価格を維持するためにお上が介入して減反政策したわけでしょ。それで足りなくなってしまったんです。自由に作ってもらわないといけないと思いますよ。

■「農業政策の失敗を認めることができない」と橋下氏
さらに橋下氏は、競争が激しくなって、コメ農家の収入が厳しくなった場合には、コメの価格を維持する政策ではなく、農家に支援金を支給する仕組みを提案する。
橋下徹氏:農家さんが困った時には、価格のほうにお金を入れるんじゃなくて、農家さんを救うために支援金を出してっていう。これができないんですよ、今の日本の政治は。
(なぜかというと、)価格がちょっとでも下がると、農家さんからやっぱりクレームが出るから。このバックアップ(農家への支援)のお金については、財務省がこんなに莫大なお金がかかるってことで、政治家がみんな引いちゃうわけなんです。1回やってみたらいいんですよ。
農林水産省は頑なに去年までおコメが足りないということは、絶対言いませんでした。去年は備蓄米を出さなかったでしょ?おコメは足りてますと。
『一部お金儲けのための投機家が米を牛耳っているだけで、おコメは十分あるんです』って言ってたんです。農業政策の失敗を認めることができないから。

■「減反政策の失敗ってことを認めなきゃいけない。国民もお米を食べる、国を守るっていう視点でやらなきゃいけない」
続いて橋下氏は、「コメは足りていない」と述べ、生産量を減らす方向へ働き掛けてきた、「減反政策の失敗を政府が認めるとともに、国民がもっとコメを食べるべきだ」と主張した。
橋下徹氏:今誰もが言ってますけど、減反政策が失敗して、おコメ足りてないんでしょと。これも検証なんかできませんよ。これだけ複雑化した世の中だと流通はいろんなところで直接やってるから、政府が把握できてないわけ。おコメが足りてないというと、減反政策の失敗ってことを認めなきゃいけない。認めるところからスタートだと思いますよ、おコメについては。
ただ農家さんを守るために、それまでの莫大なお金を出さないことになれば、競争力のない農家さんには退場してもらわなきゃいけないってことを政治が言えるか。
それから我々国民ももっとおコメ食べますよと、大きな方針に掲げたらいいと思いますよ。まさに食料安全保障ですよ。 日本の農家さんってコメを作る能力はものすごくあるのに、我々日本人が食べないから、減反政策でもう作らせないようにしてたんだから。
国民にも責任があるっていうことで、もっと米を食べようとやっていくべきだと思う。パンをすぐ米に変えろとは言わないけど、もうちょっとお米を食べる、国を守るっていう視点でやらなきゃいけない。

石破政権は米問題について、なにか政策を行おうとしているのだろうか。
橋下徹氏:次もう参議院選挙あるじゃないですか。農家さんからの反発の声を恐れて、今話したような話もしないわけです。今までの農業政策をとにかく守っていく、農家さんを守っていきましょうと。
『輸入しますよ。どんどん米も入れますよ。しかし、日本の農家さん、頑張って作ってくださいね。アメリカの米に負けないようにやってくださいね、本当に困っているところは最初はサポートするけど、どうしても弱い農家さんは申し訳ないけど退場してもらいますよ』くらいのことを本当は政治家に言わなきゃいけない。
でも選挙前になると誰も言わずにこのまま結局、消費者が高い米を買わされる。減反政策失敗なんだから。認めなきゃいけない。自民党は。
(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年4月23日放送)
