親から虐待を受けた後、死亡した千葉県野田市の小学4年生・栗原心愛さん。

「お父さんに叩かれたというのは嘘です」などと、父親の指示で書かされた書面を受けて、自宅に帰す判断をしたり、その後、自宅に戻った時期を把握していなかったことなど、児童相談所の不適切な対応が次々と明らかになっている。

そこで児童相談所の現場を永島優美アナウンサーが取材した。

一番大変な業務は「虐待対応」

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永島アナが向かったのは、名古屋市にある中央児童・障害者相談センター。

そこでは、忙しく電話対応や書類作成に追われるスタッフの姿があった。

児童相談所・児童福祉司の長谷川さんは、児童相談センターについて「虐待や育児相談、他には非行相談、障害相談など、お子さんに対する相談を受けるところです」と説明した。

そもそも児童相談所は、児童福祉法に基づいて設置され、全国212か所にあり、基本的に児童福祉司、児童心理司、医師、弁護士などを設置して対応している。

虐待の相談だけではなく、非行や障害、不登校といった育成相談など18歳未満の子どもに対する相談事を多岐に渡って扱っている。

そのため長谷川さんは「どの業務も電話相談や記録を書くことも、子どもと向き合うことも大事なのですが、やはり虐待対応」が業務の中で一番大変だという。

2017年度の厚生労働省の調査で、児童虐待の相談件数は年々増加していることが分かる。平成29年度は13万件を超え、15年前の約5倍以上となっている。

長谷川さんが永島アナに見せてくれた厚いファイル。このファイルには、1家族分の情報がまとめられているといい、「家族やお子さんによってまちまちです。約1年分の厚さが1週間くらいで同じ厚みになってしまうこともある」と話した。

相談の電話が入ると一気に忙しくなる…

この児童相談所では、1人の児童福祉司に対して約30人を担当しているというが、長谷川さんは「(ケアする人は)足りていないと個人的に感じている」とした。

政府は、対応する児童福祉司の数を3426人(2018年4月1日現在)から、2022年度までに約2000人増やす方針だが、現状で職員が足りない中、どう命を守ろうとしているのか。

長谷川さんは「すぐに調査をして緊急性があるかどうかの判断をします。そのため、電話一本入ると、児童相談所内がざわついて、一気に忙しくなります。(1件の虐待相談について)結果的にはみんなで動いていると思います」と話した。緊急を要する重大な虐待事案の場合などは、自宅への訪問前に上司などと打ち合わせをしたり、職員全体で会議をして方針を決めていくという。

そうした中、起きてしまった心愛さんのケースについて長谷川さんは「重く受け止めて自分たちに置き換えて、今後どういう支援をしていくか、再度考えさせられる事件だと思います」とし、重要なのは心愛さんのケースで実現できなかった、学校の長期欠席などの情報共有や警察との連携を進んで行うことが不可欠だと話した。

また、児童相談所に19年勤務した心理カウンセラー・山脇由貴子さんは「人手の問題もありますが、育成もしっかりやらなければならない」と人材育成に課題があると指摘した。

今回、取材をした永島アナは「児童福祉司5人に対して勤続5年以上のベテランの職員1人を配置することが定められています。年々相談される件数が増えるのに応じて、職員を増やしているが、必然的に若手が多くなってしまいます。お子さんに関する相談はどれも複雑で、その中で特に虐待事案は難しいとされています。経験豊かな職員が何人しても足りないというのが現状です。政府はあと3年で約2000人の児童福祉司を増やすとしていますが、採用方法や育成方法を工夫するなど、質を下げずに人員を増やす体制作りが必要なのではないかと感じました」と振り返った。

(「めざましテレビ」2月7日放送分より)

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