呼吸器の感染症「百日せき」が今、全国的に流行しています。聞き慣れた病気ですが、生後2か月までの赤ちゃんが感染すると死亡率が5%から8%と決して侮れません。この「百日せき」について、感染症に詳しい小児科の医師に聞きました。
子どもを中心に感染する「百日せき」。2025年に入り全国で感染が拡大していて、「爆発的」とも表現される現状です。
山陰も例外ではなく、島根県の報告患者数は2025年の累計で73人。すでに、2024年1年間の2倍を超える報告数です。さらに鳥取県では、全国的な傾向より早く、2024年の夏から流行が続き、2024年1年間に報告があった患者数は、東京都とほぼ同数で、2025年に入っても患者の報告が相次いでいます。
なぜ感染が拡大しているのか、注意すべきポイントは?気になるギモンを小児感染症のエキスパートに聞きました。
安来市医師会診療所の成相昭吉医師です。
まずはこちらのギモン。
【気になるギモン】
どんな症状か?
安来市医師会診療所・成相昭吉医師:
熱がないのが特徴です。咳は発作性で突然出てきて、昼も夜も出ることが特徴で、寝ていても出てくる。
特に乳児は注意が必要です。
安来市医師会診療所・成相昭吉医師:
死亡率が5%から8%と言われ、とても怖い病気になるのが、2か月齢までのワクチンをやっていないお子さんです。
百日せきに有効なワクチンは、生後2か月から接種可能な5種混合ワクチンの中に含まれているため、2か月以上の子どもは速やかに接種すること、2か月以下の子どもは咳が出ていると思ったらすぐに小児科を受診することが重要です。
続いては素朴なギモン。
【気になるギモン】
流行している背景は?
安来市医師会診療所・成相昭吉医師:
百日せきの感染力はすごく強くて、「はしか」と同等。もう一つは、薬が効かないタイプの「百日せき菌」が今増えていることが分かっている。
従来の処方薬に耐性を持つ菌が流行の中心だとすれば、どう対策すればよいのでしょうか。
【気になるギモン】
耐性菌にどう対抗するか?
Q従来の薬が効かない菌が流行ってるということだが、効く薬はある?
安来市医師会診療所・成相昭吉医師:
旧来の抗菌薬に加えて、もう一つ抗菌薬を加えて、最低7日服用するという方針が4月から始まった。
日本小児科学会は、2種類の抗菌薬を処方することを推奨していて、服用後5日から7日で症状は治まり、他者への感染も抑止できるといいます。成相医師は、市販の子ども用の咳止め薬はないとしていて、医師への早めの受診が重要だと指摘します。
安来市医師会診療所・成相昭吉医師:
連続する咳が出るようになったら、早い段階で百日せきを疑って診断していただく、それが大事。
【気になるギモン】
流行期は冬場だけではない?
安来市医師会診療所・成相昭吉医師:
これまでは冬場に流行するのが基本だったが、コロナ以降はあらゆる感染症が流行シーズンがなくなっていて、百日せきもそうなっている。
【気になるギモン】
感染を広げないためには?
安来市医師会診療所・成相昭吉医師:
マスクの着用、換気、手指の消毒など、基本的な感染症対策が重要。大人もかかることはあるが、流行の中心は子ども。子どもを守るのは大人しかできない。それが大人の使命だ。