今回の関税交渉について、アメリカ側はどう受け止めているのでしょうか。
ワシントンから、FNNワシントン支局・中西孝介記者が中継でお伝えします。
──トランプ大統領が「大きな進展」とSNSに投稿したが、この意味は?
交渉の詳細は機微な内容があるため、出席者も固く口を閉ざしているんですが、トランプ大統領が満足する話し合いができたことを指していると思います。
大きくは2つあります。
1つ目は、ホワイトハウス関係者も「合意が近くなければトランプ氏は出席しなかった」としていて、トランプ氏が「最優先」とした日本との早期の交渉合意を目指すことを確認できたことです。
自身の関税措置の成果を早く出し、その他の国と同様の合意を結ぶ弾みとすること、そしてその先に関税交渉の本命である中国と早く対峙する環境を作ることにつなげる道筋ができました。
2つ目は、トランプ氏が要求する貿易赤字の解消や、アメリカへの投資の拡大と雇用の増加という点です。
日本側から一定の譲歩を得られる感触を得た可能性があります。
──トランプ氏が今回急きょ出席した狙いは?
トランプ氏と会談した赤沢大臣も自身を「格下」と言っていたように、心理的に交渉を優位に進める狙いもあったと思われます。
交渉出席者は「サプライズではない」と述べ、事前の調整があった点を強調します。
ただトランプ氏との会談がいつどこで行われるかの情報も錯綜(さくそう)し、アメリカ側の提案で関税交渉の会場も変更になりました。
現場では、アメリカ側の担当者さえも情報収集に追われ、混乱も見せていました。
交渉のペースを終始トランプ政権が握っていたという印象を受けました。