新しい年度の始まりとともに新生活をスタートさせた人が多いと思います。ラグビーのオリンピック代表を経験した男性は、秋田県東成瀬村の企業で社会人生活のスタートを切りました。東京生まれ東京育ちの男性が秋田の村を選んだ理由とは。

東成瀬村を拠点にする企業「東成瀬テックソリューションズ」、通称「なるテック」。村の地域おこし協力隊が2021年に立ち上げました。

従業員全員が「地域おこし協力隊」で、地域の格差や働いても満足な賃金が得られないワーキングプアなど、村の課題をIT技術を活用して解決します。

新年度がスタートしたある日、なるテックを訪れると新入社員が研修に励んでいました。

中でもひときわ大きな体で、トレーニングについて熱く語る男性がいました。

「皆さん、こんにちは。丸尾崇真です。きょうは東成瀬村でのトレーニングに関して話したいと思います。東成瀬村を調べても、マッチョからしたらちゃんとしたジムはなくて、でもトレーニングする必要がある。村民が見たこともないぐらい大きい器具を購入して持ってきたので、ぜひ使ってください」

丸尾崇真さん(26)です。丸尾さんは東京で生まれ、東京で育ちました。

早稲田大学ラグビー部ではフォーワードのリーダー、ナンバー8として活躍し、大学日本一に輝きました。

卒業後は、日本代表としてパリオリンピック7人制ラグビーに出場するなど、世界を舞台に活躍したアスリートです。

東成瀬村の第一印象について丸尾さんは「東成瀬村は初めて来た。自然が本当に美しいなと思った」と語ります。

4月、村の地域おこし協力隊に着任すると同時に、なるテックの門をたたいた丸尾さん。東成瀬村を社会人生活スタートの場に選んだのは、ある強い思いがあったからです。

なるテック・丸尾崇真さん:
「ラグビーを通していろいろな国を回る中で、日本が抱える社会問題や将来への不安を感じた。自分がどのように日本社会に関わっていきたいかを考えたときに、田舎に行かずに東京で生まれ育ってずっといることは、日本を語る上で浅い。もっとより深い理解を得るためには、こういう場所に来ることが必要だった」

村の人口は約2300人。なるテックの代表は、丸尾さんの新しい風による村の課題解決に期待を寄せています。

なるテック・近藤純光社長:
「これからの日本をどうしていくか、そのためには地方をどういうふうにしていかないといけないか、ラグビーやアスリートとしてどういうことができるのかという話をずっとしている。アスリートとしての切り口での地域課題解決と、新たな事業の創出にチャレンジしてほしい」

東成瀬村は、豊かな自然を生かした取り組みを進めています。

その一つが「仙人修行」です。自然と向き合い、滝行や座禅などに励んで心と体を鍛えるもので、全国各地から多くの人が参加します。

丸尾さんが担当するのは、仙人修行を外国人観光客にPRするプロジェクト。同時に村の子どもたちに自身の経験を伝え「子どもたちの成長を手助けしたい」と話します。

なるテック・丸尾崇真さん:
「村に子どもが少ないことや、場所やクラブチームがないことを聞いた。この村から将来的にオリンピアンが出たとすれば、『なんでもできるんだ』ということになると思う。手伝えることがあれば、経験を生かして貢献したい」

東成瀬村とともに。丸尾さんの新たな挑戦が始まります。

秋田テレビ
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