2025年度が始まり様々な制度が変わっていますが、その中で働く人たちに大きく関わる「育児休業」などについて詳しくお伝えします。
岩手県の調査によると、2024年度に県内で育児休業を取得した人の割合は73.1%で、このうち女性は98.6%、男性は43.0%となっています。
育児休業について街の人からは次のような声が聞かれました。
40代
「取りづらい。制度が決められていても会社の方に申し出しにくい」
40代
「うちの会社は比較的男性も取っているし、女性も100%(取っている)」
30代(育児休業中)
「(子どもは)生後4カ月。夏くらいには復帰しようかなと。(旦那さんは)取っていない」
県内の育児休業をとりまく環境について、岩手労働局雇用環境・均等室の井嶋俊幸室長に話を聞きました。
岩手労働局雇用環境・均等室 井嶋俊幸室長
「出産・育児のために離職した女性は全国で1年間に14万人ほどいる。妊娠を社長に報告したところ『うちには産休も育休も無いから』と言われてしまったというケースもある。法律で決まっていることなので制度が無くても(産休・育休を)取るよう制度を作っていただくことになるので、労働局としても企業に指導をする」
こうした中、4月1日に改正された「育児・介護休業法」では男女ともに仕事と育児を両立できるよう就業規則の見直しが義務化されました。
岩手労働局雇用環境・均等室 井嶋俊幸室長
「少子化ということで育児休業を使って子育てしやすい社会をつくることが重要。こういう機会に会社で話し合ってほしい」
育児休業を取ると手取りが少なくなるという心配もあるようです。
こうした課題に対応するため4月から「出生後休業支援給付金」が導入されます。
これは従来からの「育児休業給付金」などに上乗せされるものです。
これまでの給付金の給付率は休業前の月給の67%、そこに「出生後休業支援給付金」の13%が新たに加わることで給付率は合わせて80%となります。
これらの給付が非課税であることや育休中は社会保険料が免除されることなどを加味すると、手取りベースでは約10割の額になります。
ただ条件があり、夫婦どちらも14日以上の育児休業を取得した場合に限り、最長28日間支給されることになっています。
近頃は子育てしながら働くことが主流になっていますが、「育児・介護休業法」が4月1日に改正されました。どのような点が変わったのか詳しく見ていきます。
子どもが病気の時などに取得できる「看護休暇」については、対象となる範囲が拡大しました。
改正前は小学校入学前までの子どもが対象でしたが、改正後は小学校3年生修了までに範囲が広がっています。
そして看護休暇を取得する理由も追加されました。
これまでは子どもが病気・けが・予防接種・健康診断の時にしか休みを取得できませんでしたが、これに加え感染症に伴う学級閉鎖や入園式・卒園式などを理由に休みが取得できるようになります。
次に「残業免除」については、対象者から請求があった場合、会社は原則として所定労働時間を超えて働かせることはできません。
申請すれば何回でも利用できるこの残業免除ですが、今回の改正で取得できる対象者が拡大しています。
子どもが3歳未満とされていたのが、小学校入学前までと制限が緩和されました。
県内ではこうした制度改正に先駆けて育児と仕事の両立に力を入れて取り組む企業もあります。
盛岡市のベアレン醸造所では、子育てをする社員のために勤務時間を6時間に短縮する時短勤務や30日の有給追加制度を設けています。
ベアレン醸造所総務部 菅原聡子部長
「育休は男女とも100%取得している。お互いさま、協力しあって取りましょうという雰囲気ができている」
1歳4カ月の子どもを育てる都鳥勇介さん(32)は、子どもが生まれた際には3カ月の育児休業を取りました。
ベアレン醸造所 都鳥勇介さん
「今回第一子だったのもあるんですけれど、積極的に(育児に)関わりたかったし(育休を)取るのは当たり前みたいな雰囲気があったので」
20代から30代の社員が多いこの会社では育児休業が取りやすい環境だったといいます。
ベアレン醸造所 都鳥勇介さん
「(育児休業後は)社内もおかえりなさいという暖かい雰囲気で迎えてくれたのはうれしかった」
またベアレン醸造所では2025年度から「育休がんばろう手当」を導入。
1カ月以上育児休業を取る人が所属する部署のスタッフには、全員に月1万円の手当てが支給されます。
ベアレン醸造所総務部 菅原聡子部長
「会社の制度は利用していただいて、育休が終わってからも子育ては続くので若いスタッフにはがんばってもらいたい」
育児・介護休業法は2025年10月にも改正される予定で、より柔軟な働き方ができるようになりそうです。