4月6日から始まった春の全国交通安全運動。重点項目の一つが、自転車のルール順守です。自転車は運転の仕方によって被害者にも加害者にもなり得ます。注意すべき点を自転車の専門家に聞きました。
宮城県でも始まった春の全国交通安全運動。県警によりますと、今年、県内で起きた交通事故のうち人身事故は929件で、前の年の同じ時期より63件多くなっています。このうち自転車の事故は106件と決して少なくありません。
その一方で、努力義務となっているヘルメットの着用は広がらず、県内の着用率は13.1%と全国平均を下回っています。
宮城県警交通企画課 沖 興一課長補佐
「過去の自転車乗車中の死者のうち、頭部の負傷により死亡した方は6割を超えています。自転車に乗る際はヘルメットを着用していただき、被害の軽減に努めていただきたいと思います」
県警によると、過去10年間、自転車乗車中に事故に遭った死傷者108人のうち、ヘルメットを着用していたのはわずか10人。着用していなかった人のうち9人は、ヘルメットがあれば、けがの程度が軽くなったと考えられています。
運転免許がなくても乗れる自転車ですが、加害者になってしまうケースもあります。去年12月、東京都三鷹市で自転車の女子高校生が歩いていた85歳の男性に衝突し、男性が死亡する事故が発生。県内でも今年、自転車側が加害者となった事故が3月末までに5件発生しています。
宮城県警交通企画課 沖 興一課長補佐
「自転車は軽車両です。違反をすることで、自分だけでなく他人も危険にさらすということを忘れなく利用していただきたいと思います」
県警によると、自転車で事故に遭い、亡くなったりけがをしたりした人の4割以上に交通ルール違反が確認されたといいます。交通ルールの他にも、安全に自転車に乗るため、欠かせないものがあります。
宮城県自転車軽自動車商業協同組合 山口哲男理事長
「普段毎日乗っていると変化に気付かないことが多い、これが自転車の特徴だと思います」
県内の自転車販売店などで作る団体の会長を務める山口さんです。自転車は部品の多くがむきだしの上、繊細な物も多く、日頃の点検が大切だといいます。山口さんの店で引き取ったという自転車を見てみると、一見問題なさそうですが、よく見るとタイヤがへこんでいたりブレーキの部品がひび割れていたりと走れる状態にありません。自転車を長く安全に利用するために、日常で簡単にできる点検の方法を教えてもらいました。
宮城県自転車軽自動車商業協同組合 山口哲男理事長
「10秒点検法というふうに話しています。まずは目で見て、曲がったり汚れたり、おかしなところがないかを見ます。その次、耳で聞く方法です。後ろでトンと落としてみる、前でトンと落としてみる。その時どこか変な音がすれば何か異常があると見つけます。その次、右と左のブレーキのテストをします。右を握ってグッとしますと、前のブレーキの確認ができます。左のレバーを握ってグッと踏み込むと後ろのブレーキがどうか確認できます」
この一連の点検を、慣れると10秒ほどでできるようになるといいます。整備不良の自転車では、重大な事故の発生率が約2倍になるという県の調査もあります。山口さんは、自転車が身近で便利な乗り物だからこそ、利用する人の交通安全への意識が大切だと話します。
宮城県自転車軽自動車商業協同組合 山口哲男理事長
「他の交通機関では得られない、すごく使いやすいものだと思います。その反面、適当、いい加減が通用してしまっている乗り物でもあると思います。備えをしっかりしていただくことが大事だと思います」
乗り方や扱い方によっては、被害者にも加害者にもなる自転車。一人一人の安全意識が事故の防止につながっています。