東北大学などの研究グループは4月8日、受精時期の気温や寒暖差が生まれる子供の褐色脂肪を活性化させ、脂肪を燃焼する働きに影響するという研究結果を発表しました。

褐色脂肪とは、寒い環境でも体温を維持するため、脂肪酸を分解して熱をつくるエネルギー消費器官です。熱をつくるためには多くのエネルギーが使われることから、褐色脂肪の働きが活発化することで体脂肪が減り、肥満など生活習慣病の予防が期待されています。しかし、これまで褐色脂肪の働きが活発になるメカニズムは解明されていませんでした。

東北大学の酒井寿郎教授などの研究グループは、肥満の予防法を探すため褐色脂肪に着目。18歳から29歳の若年成人男性(356人)の褐色脂肪の働きと、受精日と出生日の関連を調べたところ、受精日が暖かい時期だった男性に比べて、寒い時期だった男性の方が褐色脂肪の働きが活発だったことが分かりました。加えて、受精時の居住地を調べ気象データを解析した結果、その日の寒暖差の大きさが褐色脂肪の働きに関係していたということです。

つまり、受精前に親が低い外気温や大きい寒暖差にさらされるほど、生まれる子供は成人後も肥満リスクが低くなるよう、プログラムされることが明らかになりました。

糖尿病や高血圧の主な原因となり、死亡率とも強く関連する肥満。褐色脂肪が活性化するメカニズムの発見は、新たな生活習慣病の予防法の発見につながることが期待されています。

仙台放送
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