アメリカ・ワシントンで日本時間5日、トランプ大統領がイスラエルのネタニヤフ大統領と会談を行った。
会談後、トランプ大統領は「ガザをアメリカが所有する」と発言したが、これに対しハマスは強く反発している。

ガザ住民の強制移住計画を示唆…新たな火種になる可能性も

トランプ大統領が、就任後初めての会談をイスラエルのネタニヤフ大統領と行った。
その会談後に、驚きの発言があった。

青井実キャスター:
ーートランプ大統領が、「ガザをアメリカが所有する」と発言したということですが、こんなことがあっていいのでしょうか。

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木村拓也キャスター:
この発言は、イスラエルのネタニヤフ首相と会談したあとに行われた記者会見で出たものでした。ガザのすべての住民、約180万人を移住させるべきである。その土地をアメリカが長期的に所有する。そこで経済発展に取り組んで、何千・何万もの雇用を生み出して、中東全体に平和と安定をもたらしますと発言しました。ガザで生活するパレスチナの人々の移住先としては、ヨルダンやエジプトに受け入れを求めるとしています。

宮司愛海キャスター:
先日、停戦の第1段階で、やっとガザ市内の家に帰れたという方々もたくさんいるはずなのに、この訴えをすんなりと受け入れるはずがないと思います。

木村キャスター:
ガザ地区の現在の様子も見ると、がれきの中を人々がようやく戻ってきたという状況です。しかし、戦闘の爪痕がもちろん残っているわけで、ゴミの山もあり、破壊された家屋やがれきの撤去作業が重機などで行われています。これが今の様子ということです。

そのガザ地区の人々の移住について、トランプ大統領は「適切な土地を1カ所または多数見つけて、本当に素晴らしい場所を建設することができれば、何十年も死が続いているガザに戻るよりもずっといいと思う。ガザ住民がガザにとどまっているのは、ほかに選択肢がないからだ。ほかに選択肢があるのか? 今のガザは、がれきの山だ。彼らは大喜びで移住すると思う」と話しています。

青井キャスター:
停戦となって住んでいた地域に戻り始めた方も多い中ですから、喜びというわけにはいかないと思います。ガザ地区で戦いを続けてきたハマス側も黙っていないはずで、新たな火種になる可能性もあります。

木村キャスター:
ハマス側はそもそも、この発言に関して拒否をしていて、ハマス幹部は「地域に混乱と緊張を生み出す方法である。ガザの人々はこんな計画を通すことを許さない」と発言しています。

青井キャスター:
避難先として、ヨルダンやエジプトを想定していますが、周辺国は受け入れられないですよね。

フジテレビ・立石修解説委員室長:
これまでアメリカは、イスラエルとパレスチナという二国家共存を求めてきましたが、そういったパレスチナ政策が1日でがらっと変わってしまった。これはイスラエルがつくられた際に、この土地を追われたパレスチナの人々、ガザの人々にとっては到底受け入れがたい話です。

実はトランプ大統領は、就任の直後から、ヨルダンのアブドラ国王、エジプトのシシ大統領らにガザからの移住受け入れというのを求めていたのですが、これに対しても反発が出ていました。実現を無理やりするとなれば、相当な混乱が起きる可能性があります。

何らかの譲歩を引き出す狙いか

青井キャスター:
ーーメキシコやカナダの関税も、トランプ大統領は翌日にひっくり返しているじゃないですか。今回の発言というのも、狙いが何かあるんですか?

立石解説委員室長:
トランプ流の交渉術というのは、最初に強烈なカードを切っておいて、相手に妥協を迫る。現在、ハマスとイスラエルの停戦交渉の第2段階が始まったばかりですが、ひょっとしたらハマスや周辺国から何らかの譲歩を引き出すという狙いもあるかもしれません。

一方で、ガザ地区周辺というのは、資源が非常に豊富なエリアです。そういう意味で、エネルギー利権とかビジネス利権に、トランプ大統領が関心を持っているという可能性も考えられなくはないと思います。

青井キャスター:
パックンはトランプ大統領の狙い、どう見ますか?

スペシャルキャスター パトリック・ハーランさん(パックン):
難しいですね。僕もすごい衝撃を受けました。1期目の前にも壁を建てるとか、中近東の恒久的な平和をもたらすという、なかなか実現不可能なことも言っていました。今回は、その交渉術とか、大きな夢を語る場面とは違うんです。例えば強制移住をさせてしまったら、いわゆる民族浄化、国際法違反にもなります。

これを発言しただけで、アメリカはそんなことをやるんだと敵を増やす効果もあるし、世界中で同じことをやろうとしている独裁者を擁護するような効果もあるんです。あり得ないと感じます。不動産として考えて、大統領として考えていない気がします。

宮司キャスター:
アメリカも国連を離脱しようとしている中で、ガザ市民の方々の生活がとにかく守られてほしいとまず思います。日本としては、7日に石破首相が日米首脳会談で初めてトランプ大統領と会うということで、この予想外の提案のようなものを受ける可能性もあると思いますか?

スペシャルキャスター パトリック・ハーランさん(パックン):
僕は、今アメリカ国民も日本を敵視してないと思います。ですから、そんな厳しい要求はないと思いますが、そもそもカナダを敵視してなかったので、どうなるのかは分からないです。

中国問題や北朝鮮の問題がある中、予想外のボールが投げられる可能性は考えておいた方がよさそうだ。
(「イット!」2月5日放送より)

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