“日本一危険な動物園”として有名な札幌市の「ノースサファリサッポロ」。ライオンやアザラシの横で宿泊できると話題の動物園だが、園の敷地を巡り運営会社と市の意見が食い違い、市が事実上の「閉園命令」を検討しているという。
“動物虐待”として議論呼んだことも…
ノースサファリサッポロは、2005年7月にオープン。

ライオンやトナカイ、オットセイなど約150種類の動物を飼育・展示し、トラに餌やりもできるとして人気を集める動物園だ。
札幌市の中心部から約20kmの位置にあり、休日には家族連れが多く訪れる。

一方で、2024年に行ったアザラシと泊まれるコテージの企画が、動物虐待だとして議論を呼んだ。

運営会社である「サクセス観光」は、宅地や商業施設の開発が制限される市街化調整区域に、無許可で動物園を開設していた。
“無許可開設”訴える市と動物園が対立
これまでの経緯などについて、札幌市と運営会社の両方から話を聞いた。
まずは市の担当者だ。

札幌市都市局開発指導課・坪田修一課長:
(開園前の)2004年に現地で職員のパトロールで、建造物の建築を行っているのを発見した。その後、現在に至るまで複数回指導を行ってきている。
これまで市は都市計画法に基づいて、施設の除却命令を出す方針を検討し続けてきた。

しかし、運営会社は再三の指導に応じること無く開園。
その後も施設の拡張を行い、飲食店や宿泊施設などの建築物は増え続けているという。

札幌市都市局開発指導課・坪田修一課長:
違法建築の除却の指導を行っている際「改善する」と回答いただいたが、それとは別に年々建物が増えていて、宿泊施設なども増えているなど踏まえると、言っている事とやっている事に違いが出ているんじゃないか。
飲食店などの営業は許可も
一方で、市は動物園の許可は出していないにも関わらず、飲食店などの営業許可は出している。この矛盾について、市側はこう説明する。

札幌市都市局開発指導課・坪田修一課長:
旅館業法や食品衛生法という法律があるので、その法律に基づいて許可を取る。その許可については札幌市の保健所で対応して、そちらで許可を出している。

市によれば、飲食店の許可は2005年の開業から約2年後の2007年、宿泊施設の営業に必要な旅館業法の許可は2019年に出したという。

この説明に対し、園側の主張はフードコートや宿泊施設などは、開業前に許可は得ていると言い、双方の意見が食い違っている。
園の運営会社「市を無視したような報道に困惑」
園の運営会社は、詳細については控えるとした上で、このように答えた。

サクセス観光:
2024年12月に問題解消のため一度移転し、許可を取った後、元の場所に戻るという計画書を市に提出している。市の再三の指導を無視したかのような報道に困惑しております。

20年間、無許可で営業し続けてきたノースサファリサッポロだが、今後、除却命令や行政代執行が下された場合、閉園になる可能性がある。
「動物ちゃん達どうなるんだろう」心配の声
青井実キャスター:
この状況、どう思いますか?

SPキャスター・パックン:
実は、アメリカにも無許可の動物園がいっぱいあるんですよ。時々事件も起きているんですけど、お客さんの動物と触れ合いたいというニーズに応えようとするのは分かりますけど、動物の幸福や安全、そして法律を絶対に守っていただきたいですね。

心配されるのが、動物たちの行方だ。
SNSでも、「動物たちは?」「あそこにいた動物たちはどうなるの?大丈夫なの?」「動物ちゃん達、どうなるんだろう…心配」「動物の動画を見ていたから、ちょっとショック」など、動物に対する心配の声が数多く上がっていた。
話し合いは続いているが、解決には至っていない。
結論は、そして動物たちはどうなるのだろうか。
(「イット!」2月3日放送より)