沖縄に7月にオープンするテーマパーク「JUNGLIA OKINAWA」が、海外観光客と国内在住者で価格を分ける二重価格を導入する。

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地元支援が狙いだと言うが、海外客から賛否の声が聞かれた。専門家は世界的に二重価格が広がり、混雑対策や財源確保の手段になると指摘する。

沖縄のテーマパークに二重価格導入…海外客から賛否

沖縄で初めての大型テーマパーク「JUNGLIA OKINAWA」が、7月にオープンする。

大型テーマパーク「JUNGLIA OKINAWA」
大型テーマパーク「JUNGLIA OKINAWA」

肉食恐竜に追いかけられる「ダイナソーサファリ」や、ジャングルの上空を飛ぶ「スカイフェニックス」などが早くも話題だが、実はチケット料金にも注目が集まっている。

テーマは「二重価格、世界のスタンダードに?ソレってどうなの?」だ。

「JUNGLIA OKINAWA」は、「やんばる」と呼ばれる沖縄の豊かな森や大自然を生かしたテーマパークだ。

数多くのアトラクションはもちろん、ジャングルを独り占めするようなスパや絶景をパノラマで楽しめるレストランなど、高級リゾートのような贅沢感も味わえる。

注目のチケット料金は税込みで一般料金が大人8800円、子供5940円だが、国内在住者は大人6930円、子供4950円と少し安くなっている。

大人は2000円近くの価格の差が出ることになるが、その理由についてJUNGLIA OKINAWAの開業を手掛ける株式会社「刀」の森岡 毅代表はこう語っている。

(株)刀・森岡毅代表:
日本に住んでいる皆さまの力添えでこのパークが実現したから、そこへの感謝の表れとご理解いただけたらと思います。

街で、この二重価格をどう思うか話を聞いた。

20代:
観光に来る人は、ちょっと高くても行くと思います。

20代:
日本に遊びに来る外国人は、お金持ってる方が多い。

20代:
オーバーツーリズムも聞くし、観光地の方の負担を考えたら良いと思います。(自分だったら)ちょっと差別…区別されてるというか「歓迎されていないのかな」という気持ちになるかも。

海外から、日本を訪れている皆さんはどうだろうか。

オーストラリアからの観光客:
観光客にとっては安い方がいいけど、高くする理由も理解できるわ。

マレーシアからの観光客A:
マレーシアも同じ様な方法を取ることがあります。住民には安くして、旅行者は少し高くする。

マレーシアからの観光客B:
私たちには少し高いわ。

香港からの観光客:
同じ価格ならいいけれど、高いのは良くないと思う。観光客が高い料金を払う理由が分かりません。私たちは日本に旅行に来て、いろいろな物を買います。だから、なぜ高い入場料金になるのか分からない。

海外客への二重価格は世界でも広がる

青井 実キャスター:
賛否はあるわけですが、柳澤さんどうでしょう?

SPキャスター柳澤秀夫さん:
日本人の自分の立場からしたら、高くても良いんじゃないかなと思います。オーバーツーリズムの話が出ていたが、お金を持っているのだからいいじゃないですか。海外はそうですからね。

青井キャスター:
我々が行くときもそうですからね。これはグローバルスタンダードとなっていくのでしょうか。では、既に二重価格を設定している東京・渋谷区の海鮮バイキング店「海鮮バイキング&浜焼きBBQ玉手箱」に話を聞いてきました。

海鮮バイキング店の料金
海鮮バイキング店の料金

外国人観光客は、平日ランチが通常価格税込み6578円です。日本人や在日外国人の場合は5478円ということで、1100円割引かれます。では、オーナーの米満さんに聞いていきましょう。二重価格を導入した実感はどうでしょうか?

海鮮バイキング&浜焼きBBQ玉手箱・米満尚悟オーナー:
同時に翻訳できるようなアプリが開発されない限りは、(インバウンド客の)接客コストは掛かってくるので、お客様とのコミュニケーションが発生する以上、価格差というのも必要でしょうね。今後どんどん増えていくと思います。

青井キャスター:
接客コストというものがあるんですね。増えていくという二重価格のメリットを、専門家の鳥海さんにも聞いてみました。

航空・旅行アナリスト・鳥海高太郎さん:
オーバーツーリズムを回避する側面もあります。料金を上げることで混雑が緩和される。その地域に住んでいる方も気軽に訪れやすくなります。

青井キャスター:
この料金設定ですが、世の中のスタンダードになっていくんでしょうか?

航空・旅行アナリスト・鳥海高太郎さん:
今後二重価格を採用するテーマパークや施設などが増えてくることが考えられます。日本で生活している人が気軽に訪れやすくする。外国人観光客からはしっかりお金を取ることによって、日本の全体の経済を底上げしていく。

青井キャスター:
二重価格は世界でも広がっています。来館者数が世界で最も多いフランス・ルーブル美術館は、観光客による混雑や温度変化、水漏れの影響などから作品の保存が危ぶまれていますが、今週マクロン大統領が大規模な修復計画を発表しました。その費用は、EU=ヨーロッパ連合の外から来た観光客の入場料を、2026年1月から値上げすることなどで賄われるということです。

日本でも世界でも広がりを見せる二重価格が、世界のスタンダードになる日も近いかもしれない。
(「イット!」1月31日放送より)

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