「アメリカの黄金時代が始まる」。

“アメリカファースト”を全面に押し出し、就任したトランプ大統領。

21日、日本時間の午前2時ごろ、マイナス4度の寒さの中、40年ぶりに屋内で就任式とパレードが行われた。

気になるのは“日本経済”への影響。

関西テレビ「newsランナー」でコメンテーターを務める、大阪大学大学院・経済学研究科の安田洋祐教授は、「不安の中に光あり」と日本経済にも一定の「いい影響があるのでは」と指摘しました。

■「証券BAR」では大きな盛り上がり

アメリカファーストを打ち出す中、やっぱり気になるのは“日本経済”への影響。

関西の投資家たちはトランプ大統領の就任をどう捉えているのか…

記者リポート:トランプ氏の大統領就任まで5時間を切り、こちらのバーでは盛り上がりを見せています。

ここは個人の投資家たちが集まる「証券BAR」。

店内のいたるところに株価や外国為替などが分かるモニターが設置されている。

■「期待が大きい」とトランプ大統領支持の投資家

トランプ大統領支持の投資家:期待の方が大きいんじゃないですか。

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トランプ大統領支持の投資家:僕も期待の方が大きい。今、オールタイムハイ=最高値を更新しているということだと思うんですけど、今後さらに成長していってくれたらなというふうに祈ってます。

トランプ大統領支持の投資家:僕の場合は仮想通貨。ビットコインから投資を始めたのでトランプさんはビットコイン仮想通貨を推してる。きょうはたぶんビットコイン上がるんで、このまま『月まで行く』んじゃないかなと。

■トランプ大統領反対派は「持っている株、損してでも逃げます」

一方、反対派の人も…

(Qトランプ大統領就任で株や投資に影響は?)

トランプ大統領反対派の投資家:めちゃくちゃあります。僕はどちらかというとトランプ最悪だと思ってるんで。 今ホンダとトヨタ(の株)買ってるんですけど、車メーカーなんてまさに今トランプさんが攻撃しているところじゃないですか。 本当に危なかったら持っている株も損してでも逃げます。あと中国に対する攻撃。貿易関連ですね。あれも直接こっちにダメージくるので。

■米中の貿易戦争が懸念

今後、懸念されているのが“米中の貿易戦争”だ。

選挙中には、「中国からの輸入品に一律60パーセントの関税をかける」と宣言していたトランプ大統領。

日本企業でも中国からの原料調達などに影響が出るのではないかと心配されている。

■「レアアース」を使わない新技術を生み出した企業が京都に

こうした中、いち早く動いていたベンチャー企業が京都に!

電気自動車向けのモーターの部品などを開発する「ネクストコアテクノロジーズ」。

ネクストコアテクノロジーズ山本勇輝社長:こちらがモーターコアの一部になります今回僕たちが開発した新素材に関しては『レアアース』を含まず、高効率モーターを作ることができるそういった技術になります。

通常、モーターの製造には、耐熱性を高めるために中国が産出量のほとんどを占める「レアアース」を混ぜる必要があり、中国からの輸入に依存する体質があったという。

そこで金属の加工などに独自の技術を活用し、モーター内の温度を上がらないようにすることに成功。 「レアアース」を使わない新技術を生み出したのだ。

■試作品の発注が相次ぎ、世界から関心集まる

ネクストコアテクノロジーズ山本勇輝社長:できた瞬間っていうのはやっぱり感動しますよね!(やりたかったことを)踏み出せた感じっていうのが、感触がありましたので、すぐいろんなところに電話しましたね!

今月、アメリカ・ラスベガスで行われた世界最大規模のテクノロジー見本市でも大注目を集めた新技術。 現在、試作品の発注も相次ぎ世界から関心が高まっているということです。

ネクストコアテクノロジーズ山本勇輝社長:中国だけに頼らない。世界各国で生産がこれから始まっていくんじゃないかなと思います。

関西でも注目されるトランプ大統領の動き…私たちの生活にも影響はあるのか。

■「相対的には有利な状況が続く」と経済学の安田教授

アメリカファーストによって、国際社会が不安になる部分も当然ある中で、日本の経済への影響について、大阪大学大学院で経済学の研究をしている安田洋祐教授は「不安の中に光あり」と話す。

大阪大学大学院 安田洋祐教授:アメリカファーストで特に関税政策等を中心に、日本にも悪い影響が出るんじゃないか、投資家の方で懸念されている方もいらっしゃいました。基本はそうだと思うんですけれども、例えば関税に関して、現状メキシコ、カナダにディールがうまくいかなかったらってことでしょうけど、関税25パーセントを導入するということです。

特に日本企業の場合は、メキシコにたくさん現地工場を持っていて、現状であればそこで作った製品を、大きなマーケットのアメリカに輸出する時に、関税がゼロなんですよね。それが25パーセントに上がってしまうと、相当収益上はマイナスがあるだろうと。ただ中国にも関税を60パーセント実現した場合に、世界の工場といわれる中国からの製品と比べた時に、かなり価格の面で相対的には有利な状況が続きます。

今、日本製鉄の件で、少し揉めてますけれども、トランプ大統領の場合には、現地生産をすごく歓迎するので、『メキシコやカナダではなくてアメリカ国内に(工場を)作る、雇用を生み出す』と、『それで貢献できます』ということであれば、むしろ日本企業の存在感が北米で高まるんじゃないですかね。

他にもEVに関しての義務化を見送るとか、今までも電気自動車に関してもアメリカは補助金をものすごく出してきたからこそ、コスト条件は必ずしも良くないEVが売れたわけです、それがなくなると、日本車はハイブリッドやガソリン車がいまだに強いので、これも相対的にみるとひょっとしたらプラスがあるかもしれない。 なので不安はあるんですけど、その中に光ありということです。

■円安は進む可能性も…エネルギー価格は抑えられ「影響はどっちもある」

(Q.円安は進むか?)

大阪大学大学院 安田洋祐教授:関税を予定通り引き上げられた場合には、やっぱりアメリカ国内での物価は当然高くなります。それを抑えるために、パッと思いつくのは、やっぱり金利の引き上げです。経済を少しスローダウンさせると。

金利を上げると日本の国内の金利は変わっていないので、アメリカ金利が上がれば金利差が拡大する、今までこういったことが起きると大体、円安ドル高にふれるので、円安が進んでしまうと、輸入物価が多少高くなる可能性あります。

ただ一方で、アメリカではエネルギー政策を劇的に変えると。『掘って掘りまくれ』とおしゃっていたので、シェールガスとか石油がアメリカから輸出されるになってくると、世界全体のエネルギー価額があまり高くならない。と言う意味では、日本でもガソリンや、電気代の上昇が抑えられる可能性もあると思うので、ちょっと日本の輸入物価に与える影響というのは、今の段階ではどっちもあるかなという感じです。

トランプ大統領に石破首相がどう対峙するか、これが重要になると思う。

関西テレビ 神崎博報道デスク:トランプさんはトップ外交を好む傾向にありますので、安倍元首相のと時は、ゴルフ含めて非常に良好な関係が築けたので、2月上旬に石破さんが日米首脳会談に臨むと思いますが、そこで第一印象ですね。そこでいい関係が作れれば、日米関係はうまくいくかもしれないし、そこでもしもこじれたら、どうなるかということは石破さんの腕次第というところあるかもしれない。

トランプ政権で今後、日本を含め世界がどう変わるのか注目だ。

(関西テレビ「newsランナー」2025年1月21日放送)

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