長野県白馬村では、インバウンド需要の急増により、ウインターシーズンの宿泊予約が好調だ。外国人客の長期滞在が増加し、国内旅行客の予約が取りにくくなっている状況も生まれている。一方で、高級ホテルの進出や地価上昇など、「第2のニセコ」と呼ばれる変化も起きている。白馬村の現状と課題、そして今後の展望について、丸山俊郎村長に話を聞いた。
「冬はほぼ9割、外国人のお客さん」
昨シーズンの白馬村への入り込み客数は約128万人で、前シーズンの1.2倍となった。コロナ禍が明けて外国人客が戻ったことが要因の一つで、コロナ禍前の水準を回復している。
この記事の画像(13枚)今シーズンの見通しについて、丸山村長は「(インバウンドは)昨年以上に来るのではといわれている。クリスマス前ぐらいから2月いっぱいまでは宿、ホテルもほぼ全て埋まってるとの話は聞きます」と語る。
実際に、白馬パノラマホテルの白川貴衣さんは「冬はほぼ9割、100%に近いくらい外国人のお客さんであふれますね」と話し、円安を背景に外国人客の宿泊予約が好調であることを示している。
国内旅行客は予約取りにくい状況
ローゼンハイム白馬の女将・大谷洋子さんは「予約が外国のお客さまが早くて、(チェックアウトして)帰るときに予約されるお客さまが来年のいつに取っておいてほしいと」と話し、リピーター客の多さを示唆している。
丸山村長は、この状況について「(外国人客は)予約が早いのと長期滞在をされる、土日を含む平日まで滞在されるので、どうしても日本のお客さんの場合は土日にだけになりやすいという傾向はある」と説明する。
インバウンドと国内旅行客のバランスについて、丸山村長は「国内のお客さまは比較的まだ2食付きを好まれる方もいるので。そういう意味では昔ながらの民宿とか旅館がちゃんとあることも大切」と語る。
また、村と大町市は今シーズン、大町温泉郷とスキー場を結ぶシャトルバスの運行を計画しており、国内客には食事が充実した温泉宿に泊まってもらう考えだ。
歓迎の声と将来への不安
白馬村では、富裕層を対象にしたコンドミニアムなどの建設が進んでおり、地価も上昇している。7月の路線価の発表では、村内の地点が3割を超える全国トップの上昇率を記録した。
この状況について、地元の飲食店関係者からは歓迎の声がある一方で、将来への不安も聞かれる。
ある居酒屋の店長は「お店が満席になって全員、外国の方っていうのも全然珍しくない。来てもらった方が売り上げもあがるのでありがたい。ただ、日本人の方が来づらくなるというのは懸念というか良くない」と話す。
丸山村長は今後の展望について、「投資が活発ということ自体は悪いことではないと思うけど、なるべく地元にお金が落ちるのが多い方がありがたいところなので、住民の皆さんも観光客の皆さんも安心して快適に暮らしていける村が望ましいと思う」と述べ、「ウエルカムな姿勢でやる中で、いろいろ起きる課題や、制度上の矛盾みたいなところを何とか是正しながらいい形にできるといいな」と今後の課題解決に向けた意欲を示した。
(長野放送)