大阪市の西成警察署で、警察車両に揺られながらうつむく女の姿がカメラにとらえられた。
女は、焼き肉店が入っている集合住宅を燃やそうとした疑いが持たれている。
当時、女は燃え上がる店を見つめ、現場にとどまっていた。
その後店には、各地から多くの励ましの声が寄せられたという。
燃えさかる店を見つめる老人
大阪市西成区の西成警察署で午前9時ごろに撮影されたのは、店に放火をした疑いで逮捕された女の姿だ。
警察車両に乗せられた女はまぶたを閉じ、じっと下を向いていた。

連行されていた女は久留嶋雅子容疑者(71)で、焼き肉店に放火し、店舗が入る集合住宅を燃やそうとした疑いが持たれている。
7月、店の防犯カメラに燃えさかる炎の奧で、火事の様子を見つめる久留嶋容疑者の姿が映し出されていた。

当時、久留嶋容疑者は現場の近くを、傘を差して、つえをつきながら歩いていた。
するとその直後、煙とともに瞬く間に火の手が上がった。

駆けつけた住民たちが 、「水!水!水ないの!?水ない!?」と呼びかけ、あわてて火を消そうとする中、久留嶋容疑者は微動だにせず、現場を見つめていた。
さらに、消防隊が到着し消火活動を行う中、近くにいた人と会話する様子も見られている。
様子を見るため?現場に残る心理
いったいなぜ、久留嶋容疑者は自ら火をつけたにもかかわらず、現場にとどまったのか。
心理学にくわしい専門家の明星大学藤井靖教授は、「典型的な防衛的露出なんですよね。犯行現場に証拠を残していないか確認したいとか、自分が犯人だとバレていないか確認したいとか」と、犯人に起きやすい心理だと話す。
また久留嶋容疑者は、事件の翌日以降も現場近くに現れていた。
現場近くで店を営む人によると、ある“異変”を感じていたという。

店の人は、「次どこ行くん?言うたら『何よ、何よ』って何度も振り向きざまで、つえ持ってたのにめちゃくちゃ早くなってもうて」と、話しかけると、何やら久留嶋容疑者が焦る様子も見られたという。
逮捕で「ホッとしました」と店主…集まる激励の声
逮捕されたことを受け、被害に遭った店の店主は、「ようやくホッとしました。全然面識ないんですよ、うちに来店されてこともないし、(動機は)ほんまに見当つかないです」と話している。

また、「『放火はかわいそうですけど、これに負けんと頑張ってください』言いに来てくれるお客さんとかいっぱいいた」と事件後、お店には各地から多くの励ましの声が寄せられたという。

さらに燃えてしまった看板について、店主は「看板が燃えて、ホルモンの『ホ』がなくなったんですよね。『ルモン』が残ったんで、あの“負けるもんか”、負けられへんのでね」と残った看板の単語をもじり、“負けルモンか”という看板を掲げたと話している。
警察の調べに対し、久留嶋容疑者は、「私がやったことに間違いありませんが、マンションを燃やしてしまおうなんて思っていません」と、容疑を一部否認している。
(「イット!」 11月26日放送より)