消費者金融の自動契約機で偽造身分証明書を使った不正申し込みが増え続けている。2020年と比較して2022年と2023年は1.5倍ほどに増加し、2024年はさらに1.7倍になると予想されている。その偽造身分証明書を作成するとうたう代行業者サイトも多数ある。こうした中、消費者金融の審査を担当する人に話を聞いた。
偽の運転免許証を見破れたワケ
愛知県の消費者金融の自動契約機で2024年5月に捉えられた映像。
この記事の画像(21枚)女が自動契約機で融資の手続きをしている。
犯罪に使用されたのは偽物の運転免許証だ。
この身分証明書の持ち主は、スマホを見ながら操作を終え部屋を出たが、ドアの外では警察官2人が待ち構えていた。
警察官の求めに、女が運転免許証を取り出し、それを2人がかりでじっくり確認すると、免許証は即座に偽物と発覚。女はそのまま連行され、その後、逮捕・起訴された。
女の名前は本荘ナオミ被告(41)。
しかし、先ほどの運転免許証を見ると、名前の欄には李という名字が記載されており、さらに生年月日は現在57歳の計算と全く合っていない。
この偽物を見破ったのは、ローンの申し込み時に対応した審査担当者。同じ偽の免許証を実際に別の審査担当者に見てもらった。
アコム審査担当者:
これは偽造免許証だというのは一発でわかると思います。生まれた月の1カ月後までが有効期限になる。ここが偽造だなと思うポイント。
誕生日と有効期限のばらつきと、さらに、文字のフォントの微妙な違いなどから見抜くことができた今回の偽造。
増え続ける不正申し込み…アコムの現場を取材
一方で消費者金融では、偽造身分証明書による不正申し込みが増え続けているという。
アコム社によると、不正申込件数は2020年と比べて、2022年と2023年は1.5倍ほどに増加。
2024年はさらに1.7倍になると予想されている。
中には様々な名前や生年月日、さらに眼鏡などで風貌を変えた偽造身分証明書で20回以上にわたり不正申込をしたケースもあったという。
ある捜査幹部は、「金融機関の審査がオンラインで非対面式になっているうえ、偽造身分証明書はネットなどでも簡単に手に入れられる環境が一因」と指摘する。
実際にネットで調べてみると、代行業者サイトが多数出てきて、中には「クオリティーは業界NO.1」などとうたい、運転免許証だけでなく卒業証明書、戸籍謄本まで偽造できるというサイトもある。
大手消費者金融の融資審査業務の現場を取材すると、デスクには過去に不正申し込みがあった人の顔写真が貼られていた。
過去の不正申し込み事案を社内で共有し、偽造身分証明書や顔の特徴を意識しながら審査に当たっているという。
アコム審査担当者:
不正な目的で申し込みはしないでほしいということと、これから軽い気持ちで書類を偽造して申し込みをしようと思っている方に対しては、とても重大な犯罪になってしまうので、絶対にしないようにしてほしい。
(「イット!」 11月14日放送)